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PostHeaderIcon コパ・アメリカ ブラジル2-1ペルー

いやあ、良い試合だったですな。ドゥンガ率いる新生セレソンの片鱗が確認できたし、南米各国の力関係がよく理解できる一試合だった。

まず、ブラジルは苦戦したが、ネイマールを始めとする選手たちの個人技でなんとか勝てた。しかし、なんと言ってもペルーがパワーアップしている。昨年、W杯のチリかと見間違うほど、引いてはしっかりとブロックで守って、カウンターをしかける。

前線では、日本でコリンチャンスをチェルシー相手に勝利に導いたFWゲレーロがポストプレーを上手くこなしていた。ゲレーロはコリンチャンス所属になっているが移籍がほぼ確定らしい。クエバという選手が攻守に渡って効いていた。

セレソンは懐かしい面々が見られた:エリアス、タルデッリ、ドウグラス・コスタ(まだ若いけど)。さらにコロラード・サポには懐かしいフレッジくん(*ブラジルW杯時のFWではありません)が出てきた。(ロビーニョもいるらしい)

内容としては、今季、欧州で頂点を極めたネイマールが圧倒的な自信と存在感を見せたゲームだった。いわゆる「箔が付いた」ってやつだな。シーズンの疲労もたくさん溜まっているはずだが、ネイマールは懸命に代表チームでプレーしてくれるのが有り難い。

しかし、ドゥンガのセレソンには固定されたFWがいない上に、中盤にもクリエーターがいない(コウティーニョは怪我で調整中らしい。オスカルも怪我で大会に参加していない)。さらに両サイドバックは守備重視なので、それほど駆け上がらない。最大の武器が中盤で奪ってカウンターをしかけること。だから、前線にはとにかく速い選手を揃っている。これじゃあ、ブラジル国内では非難ゴウゴウだわ。それでも、ドゥンガは11試合11連勝という驚異の戦績、負けにくいチームに仕上がっているのも事実。

しかし、チームはこのコパ・アメリカで大きく成長できる可能性を秘めているとも思う。まず、チームが本当にコンパクトにプレーできるかどうか。最終ラインが高く上げながら、前線が流動的に動き、それをボランチたちが機能的にカバーできれば、チームはがっちりとまとまる。

そこに、コウティーニョが中盤にハマったり、カゼミロがボランチのオプションになったり、フィルミノがもう一つの得点源になったり、と。(右SBのダニーロにも期待していたが、残念ながら怪我で不参加)。けっきょく、大会前にドゥンガはレギュラー候補5人を怪我で失っている(GK:ディゴ・アウベス/バレンシア、左SB:マルセロ、右SB:ダニーロ、ボランチ:ルイス・グスタボ、そしてMF:オスカル)。

しかし、このコパ・アメリカの12チームのうち、アルゼンチン人監督がなんと6人!!もいるらしい。アルヘンティーナ、ペルー、チリ、コロンビア、エクアドルそしてパラグアイ。要は、ブラジルの弱点を知り尽くしているアルゼンチン人監督がうじゃうじゃいるわけだ、つまり、ブラジル✕アルゼンチンの構図がそこらじゅうに…

ちなみに、今回のペルーの監督がリカルド・ガレカ。昨年、ブラジル選手権でパウメイラスを率いた(が、途中で解任)。チリは私も注目しているサンパオリ(サンパウロFCが先日、ラマーリョ監督を解任したあと、オファーを出したそうな)。コロンビアは日本代表にも就任しそうになったペケルマン。パラグアイはなんとラモン・ディアス、マリノスサポは懐かしい。本家アルヘンティーナは昨季バルサを率いたタタ・マルティノさん。

ブラジル国内でも、今年に入って、いまサンパウロFCの監督はコロンビア人のフアン・カルロス・オソリオさん、我がインテルはウルグアイ人のディエゴ・アギーレさん(元日本代表のお方ではありませんよ)。フラメンゴで名声を博したペトコビッチがつい最近、セリエBのクリシウマの監督に就任した。

セレソンもドゥンガが就任する前にはブラジルW杯準優勝のサベージャに打診をしたらしい。サンパウロFCに関しては今回、絶対に外国人監督を取るつもりだったらしくポルトガル人のビラス・ボアス監督(FCポルト、チェルシ-、トッテナム)にも打診したらしい(金銭面で折り合いがつかなったらしい)。

こうした事は何を意味するのかというと、ブラジル国内のサッカーシーンでも、ゲームのコンセプトに対する変化を模索していることが覗える。日本にいる人たちからすれば、外国からの良い影響を取り入れるのは当たり前のようなことだが、ブラジルには、これまで自国のサッカー文化に相当の自信があったし、それが、いかにドイツに大敗したあとに瓦解したかが覗える一例だ。それにいま、ブラジルで次代を担うと期待される若手監督がいない…FWもいねえ、ゲームメーカーもいねえ、そもそも欧州のトップチームを率いる事の出来る監督がいねえ。

まあ、そんな状況のなかでドゥンガは闘っている、孤軍奮闘している。コパ・アメリカで最善を尽くさねば南米予選の展望も開けない。

しかし、ブラジル国内ではみーんなセレソンに失望しちゃって、ブラジルサッカーにも落胆ムードが漂って(かくいう私もだが)…もう、何をやっても、喜んでもらえない。さらにFIFAの汚職騒動にブラジルCBFのじじい共の名がうじゃうじゃ挙っているし、国内で嬉しい話題はあまり見当たらない(女子W杯と男子U20ワールドカップでは頑張っていますが…)。こりゃあ、大変だな。

Brasil – Peru 2 – 1 (1-1)

Estádio: Germán Becker (Temuco)

Público: 18.000

Árbitro: Roberto García. Auxiliares: José Luis Camargo y Marvin Torrentera (trio mexicano)

Gols:

Brasil: Neymar (5), Douglas Costa (90+2)

Peru: Christian Cueva (3)

Cartões amarelos:

Brasil: Neymar (45), Filipe Luís (57)

Peru: Paolo Guerrero (30), Juan Vargas (83)

Escalações:

Brasil: Jefferson – Dani Alves, Miranda, David Luiz, Filipe Luís – Fernandinho, Elías, Willian (Everton Ribeiro, 86), Fred (Roberto Firmino, 75) – Diego Tardelli (Douglas Costa, 66), Neymar. DT: Dunga.

Perú: Pedro Gallese – Luis Advíncula, Carlos Zambrano, Carlos Ascues, Juan Vargas (Yoshimar Yotún, 88) – Christian Cueva (Yordi Reyna, 82), Carlos Lobatón, Joshepmir Ballón, Joel Sánchez – Paolo Guerrero y Jefferson Farfán (André Carrillo, 82). T: Ricardo Gareca.

 

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