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PostHeaderIcon ガヒンシャ、ピッチを舞うチャップリン(その1)

ブラジル・サッカーを一つの長編小説として想像したとき、ストーリーの主人公を誰にするかは人それぞれだろう。ペレはブラジル・サッカーの最大のシンボル、勝者の象徴であり、世界的な名声を得ている。でもブラジル中が愛し、どうしょうもなく“ブラジル臭い”プレイヤーをあげるとすれば、やはりガヒンシャだろう。


ガヒンシャはペレより一つ上の年代のプレイヤーで、セレソンの現TDザガロと同世代の、ちょうどブラジル・サッカーが世界の頂点に登りつめた50年代から60年代にかけて活躍した天才だ。
今では世界中の選手がやってのける“またぎフェイント”を1958年スエーデンW杯で世界にお披露目したのも彼だといわれる。ガヒンシャのドリブルの特徴は、体はある方向に向かい、ボールは違う方向に抜けていく、それもタイミングが独特で、一度ピタッと静止して、次の瞬間スッとやってのける。相手DFはガヒンシャがこっちに来ると思ったその時、あっちに行ってしまっている。
このドリブルこそブラジル・サッカーの一つの神髄であり、これだけサッカーがグローバル化されても他の国の選手が試合でやっているのは見たことがない(日本の小野選手は近いものをやっているが、たぶんマラドーナからの影響ではなかろうか)。ブラジルでも誰でもできるわけではない、現在これを完璧にできるのはフラメンゴのフェリッペ、ベティスのデニウソンあたりだ(バスケで若き日のマイケル・ジョーダンも、手を使ってだが、似たような抜き方をしていた)。
ガヒンシャに関する逸話は事欠かなので、何回にも分けて情報を提供していきたい。
1962年チリW杯決勝対チェコ戦でドリブルに入ろうとするガヒンシャ。
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