ヒカルド・オリヴェイラ、黒豹のゴール・ハンティング。
ここ2年間、リーガ・エスパニョーラで著しい成長を遂げているのがベティスのヒカルド・オリヴェイラ。
今年25歳になるヒカルド・オリヴェイラは黒豹のようにしなやかな体をし、スピーディーなドリブルと切れ味抜群のシュートでゴールを量産する。彼の最大の魅力は非常にクレバーであることと、ビッグ・プレーヤー特有の存在感があること。観る者は、彼がボールを持ったとき何をしてくれるのか必ず期待してしまう。彼の目つきは野心に溢れている。
興味深いのは、その風貌に違わない彼の紆余曲折なキャリアである。8年前、17歳でサンパウロ州の名門コリンチャンスとプロ契約をしたヒカルドは、その後3年間に渡りトップ・チームでのチャンスを与えられなかった。
2000年には同州の古豪ポルトゲーザに移籍し、入団後はなんとセンターバックをやらされたという。本人は「とてもじゃないけどCBは無理」と監督に直訴し、本職のFWへコンバートされる(このとき現ローマのマンシーニが右サイド・ハーフでいた)。同年にはチームの得点王に輝き、2003年には当時のブラジル選手権王者のサントスへ移籍。
サントスの“少年軍団”ホビーニョやジエゴなどに加わり、チームを03年のリベルタドーレス杯準優勝へ導く。ヒカルドは9ゴールで大会得点王になる。
直後の03年7月にスペインの強豪バレンシアに移籍。バレンシアでは同シーズンのリーガとUEFAカップを優勝するも、チームのレギュラーFWには定着できない。後にバレンシアへ移籍したことについて本人は「移籍の仲介人に騙されたよ。バレンシアがあんなに守備重視なチームだとは思いもしなかった」と冗談めいたコメントをしている。
04年には念願のセレソンに初選出され、コパ・アメリカ優勝にも貢献。04年7月にはベティスに移籍。この時期に上のコメントを残しているが、確かにベティスという攻撃的なチームのツートップ(もう一人は同郷人エドゥ)に入った彼は、水を得た魚のように大爆発した。
今季ベティスはリーガ第29節時点で3位につけ来季チャンピオンズ・リーグ出場権を争っている。ヒカルドは15ゴールで得点ランキング4位(1位はバルサのエトォで18ゴール)、ゴール・アシスト数もかなりのものである。
チームは彼意外にもホアキン、エドゥ(元サンパウロ)、マルコス・アスンサォン(元サントス、フラメンゴ、ローマ)等(デニウソンも復帰している)を中心とした攻撃的サッカーを繰り広げ、いったん機能しはじめると誰もが見惚れしてしまうほどの素晴らしいアタッキング・サッカーを繰り広げる。攻撃力だけでいえばバルサを凌ぐと周囲に評価されており、日本にもベティス・ファンが多いのが頷ける。
ベティスは次節(第30節)は4月3日のアウェーで、相手はなんと首位バルセロナ。チームとヒカルドの真価が問われる試合となる。
その前にヒカルドはセレソンに合流し、3月最終週の南米予選2連戦にも参加する。
昨年セレソンに初選出された黒豹ヒカルドには益々注目が集まっている