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PostHeaderIcon セレソン、なぜ日本に勝てなかったのか?

2005年6月22日ドイツ・ケルン、コンフェデ杯グループ・フェーズ第3試合、ブラジル2×日本2。
結果以上に、個人的にはピッチ内外の様々な出来事で非常に興奮した試合観戦だった。ピッチ外の出来事とはもちろんジーコの挙動のこと。なにはともあれ、引き分けの結果、ブラジルは準決勝に進出することができた。試合への感想だが、実は興奮しすぎて終わった時点ではゴールシーン以外、ほとんど思い出せなかった。日韓W杯決勝戦のときに近い感覚だった。


日本代表サポーターには本当におめでとうといいたい。今までで最も攻撃的なジーコ・ジャパンだったし、ジーコの言葉通り「勝ってもおかしくない試合だった」。どのブラジル人サポーターもそう思っているはず。
今度は試合の録画を冷静になって観てみた。本当はふがいないセレソンのアラ探しをするつもりだったのだが、客観的に観てなかなか面白い試合だったことに気付いた。
その一番の理由は単純で、日本代表がDFラインを下げなかったこと。前半、日本の最終ラインとブラジルのファンタスティック・フォーの1対1が幾多も繰り広げられた。ロナウジーニョ、ホビーニョ、アドリアーノ、カカと1対1で望むには勇気がいる。例えれば、全盛期のマイク・タイソンとノーガードで殴り合うようなものだ。でも日本は「気持ちで戦う」のではなく、はっきりとリスクを負って勝つための戦い方をしたと思う。ジーコは10人で守って3点入れられたギリシャの二の舞にはなりたくなかったのだろう。
4バックでラインを下げないチームは世界では、セレソンやレアル、バルサなどの攻撃的なチーム(あとブラジル国内の多くのクラブ)の証明だ。だから、ジーコの挑戦的な布陣にパヘイラ監督も驚いたはずだ。もちろん、そのおかげで、ブラジルは前半で2点を叩き込むことができた。
日本代表では中盤の中田と俊輔が非常に良く、加地とサントスが両サイドから頑張って切り崩していた(これが4バックの本当の長所)。後半は中田がさらに上がり、投入された大黒に俊輔が裏へのパスを出す。
それでも後半40分まではブラジルがゲームをコントロールしていたように思える。カカとゼ・ホベルトをそれぞれヘナトとエドゥーといった攻守のバランスを保てる選手たち、アドリアーノをジュリオ・バチスタ(ベスチア!)というポスト・プレーヤーに替えたことはボールの支配率を高める意図があったに違いない。
だから、ちょうどブラジルが前半終了時と同じようにボールを回し始めようとしていたころ、中田がエリア前のこぼれ球に上手く体を入れて、ファウルを誘った。これ自体が非常に高度なテクニックである。さらに俊輔のFKは言うまでもない。GKマルコスやDF陣はボールが外れたと思ったのではないか。誰もカバーリングに行かず、大黒は一人でなんなく決めた。
最後の押せ押せモードも、日本がブラジルに勝つという強い意志の現われだった。つまるところ、セレソンは明らかにゲーム・コントロールに失敗したのであり、教訓というか、今後は日本を相手に戦うときは修正しなければならない点が出てきたというわけだ。個人的にはヘナトではなく、ジュニーニョ・ペルナンブカーノを使ってほしかった。
試合後、次のドイツ戦に向けてパヘイラ監督は「テスト期間は終わった、次はガチンコでいく」と言って、話題をさっさと切り替えてしまったが、テストしたなら普通黙ってません?
そしてジーコ。日本のゴールで大喜びしている彼を見て、正直、チキショーと泣きたくなった。大半のブラジル人もそうだったのではないだろうか。セレソンの10番を10年間背負ったジーコが、ブラジルが失点して大喜びしている。ドイツ人にしてみればベッケンバウアーが、マテウスが、イタリア人にしてみればバッジオが、フランス人にしてみればプラティニが、オランダ人にしてみればクライフが、アルゼンチン人にしてみればマラドーナが、相手チームのゴールに喜んでいるようなものだ。もちろん裏切り行為でないことは分かっているし、今後もサッカーの歴史ではこういったことは多くあるだろう。
試合後、ジーコは「私はセレソンにすべてを捧げた一人だ。だから今は複雑な気持ちで一杯、これ以上のコメントは勘弁してくれ」と兄エドゥとキーパー・トレーナー、カンタレーリ(ああ懐かしい)に囲まれてブラジル報道陣に話した。ジーコがこう言えば、誰が文句を言えるのか。これはブラジル・サッカーの宿命であると(勝手に)諦めるしかない。
しかしジーコは間違いなく、「激動」という星の下に生れた。試合後は「審判のミスジャッジがなければ、3-2で勝っていた。こういう大舞台では必ず知名度の高いチームに、ジャッジが有利に働く」としゃあしゃあと言ってのけた。
「メキシコの2選手はドーピング疑惑だって、その話どうなってるの?じゃあ、日本にポイントを返してほしいな。準決勝に行くべきチームは日本だ!」と、正式にFIFAに抗議した、とブラジルでは報道されている。これにはジーコに話題を振った記者たちもタジタジ。日本代表はもう帰国したというのに、なんという執念、ジーコこそ大舞台で存在を発揮する勝負師である。
コンフェデ杯グループ・フェーズで一番存在感を示したのはジーコ。こうしたこと全ては来年のW杯本番で有利に働く。この影響は、日本代表にとって計り知れない。
さあ、セレソンの次の相手はマンシャフト、ドイツ代表。ドイツとブラジル、二つの巨大なサッカー文化の激突。これも絶対見逃せない。
ブラジル・サッカー史に残る抱擁
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897 Responses to “セレソン、なぜ日本に勝てなかったのか?”

  • コンフェデ、グループリーグ敗退

     ブラジルとの試合は、大健闘と言ってよいだろう。
     ポゼッションでは大きく劣ったものの、時折見せるパスワークから相手ゴールにせまるそれは、強豪国を見ているよう…

  • なべ says:

    TBありがとうございました。
    ストレスが溜まることの多かった日本代表でしたが、このコンフェデは、グループリーグで敗退したものの、今後につながる良い大会だったのではないかと思います。
    強豪相手にこれだけのパフォーマンスを披露してくれただけに、東アジア選手権でのパフォーマンスが今から気になります。

  • 一年後に向けて

    またしても大黒が決めてくれました!!(≧▽≦)やはり彼のゴールに向かっていく姿勢はすごい!!裏への飛び出しも素晴らしいし、自分が取られたボールは自分で取り返しに…

  • apolo5 says:

    トラバありがとうございました!
    ブラジル戦は本当に面白い試合でしたね。
    予選リーグのベストマッチに選ばれたとか?
    予選敗退は残念だけど、とても収穫のある大会だったと思います。

  • flavancha says:

    今夜のブラジル対ドイツは楽しみですね。W杯の決勝はバラックが不在だったので、どこまでやるのか本当に楽しみです。
    futblogさんおっしゃる様にブラジルはジュニーニョを起用して欲しいです。エメルソンも。エメルソンは監督と仲直りしたんですよね?
    ブラジルがアウェイの空気、疲れも何のそのドイツを蹴散らしてくれる事を祈るばかりです。
    でもオボモイエラやシュバインシュタイガーら新顔を多く登用するクリンスマンの代表はなかなか良いなとも思っていたりします。
    TBありがとうございました。

  • ブラジル戦を観戦して感じた世界との差

    うむーん、惜しかった!!後すこしで決勝トーナメントだったのに・・・。仕方ありません。でもこれを活かさなきゃということで、僕なりに興奮の90分間を振り返ってみよう…

  • フッチブログ says:

    なべさん。
    東アジア選手権、確かにありますね。アウェーの韓国戦はこれまで以上に激しくなりそうですね。
    あとイランとのホーム戦で勝てば予選1位で通過ですね。

  • フッチブログ says:

    apolo5さん、
    へえー、予選ベストマッチですか。
    ドイツ人はサッカーを見る目は確かですからね。
    そういえば、インターバルでベンゲル監督がテレビでコメントしていたこと「中田を上げて、FWを裏に走らせる」、ジーコはそっくりそのままやりましたね。まるで互いに連絡を取り合ったように。
    つまりジーコはベンゲル並みの知将でもある、ということ?ヨイショし過ぎかな。

  • フッチブログ says:

    flavanchaさん
    ドイツ戦、楽しみです。
    来年ホストを務めるためにドイツがどれだけ頑張ってきたかは、世界中が知るところです。
    今日セレソン相手にそれを証明するいいチャンスですもんね。
    今日はドイツが思いっきり前がかりになって、点の取り合いになれば面白いですね。クラニー、ここにもブラジル出身者が。

  • Goaly says:

    フッチブログさん。
    あの試合のあと皆から褒められましたよ。
    ちなみにブラジルで試合のことで友達やコーチが↓
    ・リカルド・オリベイラをアドリアーノの代わりに入れるべきだった。
    ・マルコスは入らない。
    ・DF全員を総入れ替えしたほうが良い!!
    と言ってました。
    しかも友達は「ブラジルはFWは世界でもトップクラスだけど、DFは没だよ。」って愚痴ってました。(笑)

  • フッチブログ says:

    おおGoalyさん、
    頑張ってますか。
    ホント、ブラジル人の日本サッカー(しいては日本からサッカー留学している皆さん)を見る目は変わるんじゃないですか。
    友達の意見はマルコス外して、さしずめホジェリオ・セニじゃないっすか?いまサンパウロFC凄いですから。
    ブラジルでは「世界最高のアタッカーがいる国には、彼等を止める世界最高のディフェンダーも育つ」という認識ですけど、いまのDF陣は明らかに調子落としていますね。
    まあ、今日のドイツ戦が注目です、だってセレソンのレギュラーDFはブンデスでプレーしてますもんね。

  • 更新お待ちしてました!
    ブラジルが相手でもジーコの喜怒哀楽は相変わらずでしたねぇ。
    試合後のコメントのジーコの姿がとても印象的でした。
    自分のやっていることが間違っていないという事を、ブラジルに見せ付ける事が出来たと満足感のある表情にも見受けられましたねぇ。
    今日の準決勝も見ますよぉ。
    またお邪魔しますねぇ!

  • フッチブログ says:

    myfootballlifeさん、
    どうもコメントありがとうございます。
    実はジーコも日本代表のおかげで、本国で随分評価が上がったようです。
    ちなみにフラメンゴの会長選にジーコの名前がチラホラと上がっているようですが、これはW杯前に行われるのでガセに過ぎないと思います。
    でもこの試合の余波、ブラジルでも確実に近い将来何か関係すると思います。

  • ノア says:

    TBありがとうございました。
    結果は2?2。よくやったとは思います。でも、
    やっぱりセレソンは強かったですね
    ブラジルの強さ上手さがあったから日本の頑張りも目立ちましたね
    なんて言っても日本はいい試合しましたね!!

  • コンフェデレーションズ・カップ 2005 6/21・22

    いよいよコンフェデレーションズ・カップも予選最終戦。世界王者ブラジルに勝たないと決勝トーナメントには進めない日本代表!
    結果はどうあれ、次のイラン戦、そして来…

  • フッチブログ says:

    ノアさん、
    日本代表が進化していく過程は見ていてホント楽しみです。
    これで外国でも結構ファンを獲得したのでは。

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