衰退の代償
いまさらロナウドのミランへの移籍話について書くつもりはなかったけど、今週のオ・グローボ紙に、この移籍話にまつわるお金の話がのっていて、面白かったので、触れてみたい。
これを書いている数日後には、おそらくミランとレアルがロナウドの移籍を完結させていると想像する。
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追記1あり
移籍金は、いまのところミランの提示額800万ドル(600万ユーロ)、レアルの要求額900万ドル(700万ユーロ)。ちょっとばかし、ドル/ユーロ為替レートがいいかげんですが、ドルベースでいきたいので、ご勘弁ください。
インテルからの移籍金が当時5700万ドルだから、つまり、4900万ドルの差。エライ赤字だ。その4年半で獲得したビッグタイトルは、02年トヨタ・カップと02/03リーガ。04年以降はまったくタイトルなし、エライこっちゃ。
それでも、ロナウドはどうしても移籍したいらしく、どうしてもカペロのアゴが気持ち悪いらしく、自分の年俸をさらに下げてでも、ミランがレアルの要求額を払えるよう計らっているそうな。
つまり、当初、うわさされていたミランでの年俸780万ドルを、650万ドル程度に下げるつもりらしい(つまり両側の提示額の差額を自身の年俸から差し引く)。現在、レアルでの年俸は同じく700万ドル。ちなにみ、先日レアルの会長が暴露したのが、GKのカシージャスの年俸が1000万ドルほど。
ロナウドはカシージャスより低い金もらってたのか…と考えがちですが、あながちそうでもなく、選手の年間収入を把握するには、スポンサー契約料をも知る必要があります。
オ・グローボ紙の記事でも、さすがにそこまでの数字は出せないようですが、ロナウドはレアルに行く前から、ナイキ、Ambev(ブラジルの飲料水メーカー、「ガラナ」とか)、TIM(ブラジルの携帯電話キャリア)の3社と契約しています。
さらに、レアル系のスポンサーとして、SIEMENS、Audi、Banco Santander(スペイン大手銀行)。ここらへんは、レアルが50%ピンハネしてます。そう、レアルはサッカーチームであるとともに、芸能プロダクションでもあります。最近、ベッカムという超売れっ子をアメリカ資本に持っていかれたばかりですが。
ミランで年俸減に譲歩するかわり、ロナウドは今後すべてのスポンサー契約に対して100%の肖像権を有するらしいです。スペインのAs紙が言うには、すでに、ACミラン系のスポンサー契約料だけで、新たに500万ドルの収入が見込めるそうです。ミランて、そこらへん清いのかな、レアルと違って。
なーんだ、ロナウド安泰じゃん。と考えてしまいますが、いやいや、この選手の年俸の50%程を占めるインカム(ロナウジューニョの割合は、はるか大きい)こそが「水モノ」。ロナウドの不調の影響で、すくなくとも、ブラジル側の3大スポンサーのうち二つ、AmbevとTIMは今年の契約を打ち切る方針だそう。
ナイキに関しては、セレソンに呼ばれなくなった時点で、支払い額50%減だそうです。そういう契約だそうです。がびょーん、だからロナウドは言うわけだ「セレソンに戻りたいな」と。
彼のブラジル・サッカーへの貢献は疑いの余地なくデカイ。そんなロナウドが紆余曲折を経て、たどりついたミラン。4年前、リバウドも辿った道筋。
移籍が決定した時点で「戦友カカとともに、復調を目指す」なんて書かれそうですから、言っておきます。06年W杯、クロアチア戦のあと、まったく動かないロナブーにあきれたカカは「ロナウドはもっと動かないと、コンフェデ杯のチームは(彼がいなかったおかげで)もっと軽かった」と批判。それに対し、ロナウドは合宿先でカカに対し「コンフェデ杯のようなちっこい大会とW杯を一緒にするな」と逆ギレしたらしい。で、チームの結末は周知のとおり。
つまり、2人はいまのところ不仲。
追記1:
で、とうとう決まり、1月30日、ACミランの公式サイトで発表。
ロナウドの移籍、750万ユーロ(980万ドル)で両チーム合意。来季CL出場権確定の場合(セリエで4位以内だっけ?)、ミランがプラス50万ユーロ(65万ドル)をレアルに支払う。
年俸は未発表だけど、600万ユーロから、一気に400万ユーロへダウン、とブラジルメディアは推定。契約期間もたった1年半。実際は、ここ半年で結果を出さないといけない状況。
ヒカルド・オリベイラのレアルへのレンタルはまだ未定。(オリベイラが割を食っている)選手登録は明日まで。ちなみに、オリベイラがレアルに行くと、セレソンの左サイドバックの“若き守銭奴”マルセロが外国人3枠(イグアイン、ガーゴ+一人)から外れ、今季はレアルBでくすぶる。
ロナウドの移籍による玉突き現象、ほんと人騒がせなやっちゃ。あ、そうそう、移籍すると、17歳から23歳まで所属したチームに移籍金の5%がいく。サン・クリストーバン(リオ)、クルゼイロ、PSV、そしてなんとバルセロナ!の4チームで50万ドルを分割。みんなケチな計算しないで、リオ郊外の小さなチーム、サン・クリストーバンにあげたら?
ミランでは大喜び。低迷するチームへの明るい話題として、起爆剤としてFenomenoに期待がかかる。フロントはシーズン開幕前の8月に、ロナウドをレアルから得るために1800万ユーロ用意していたそうだが、半年後、たったの750万ドルでゲット!大バーゲンだよ。これも「衰退の代償」、ロナウドだけじゃなく、レアルの衰退も。
銀河系の解体事業も残すところ、あと一人か…ラウールじいさん。まあ、ここまではやらないかな。ラウールを残すのなら、ホビーニョを出してくれないかな。
ロナウドの捨てセリフ:「レアルで一緒だった監督全員に感謝したい、一人を除いては…」。そんなにアゴが嫌いか。
さあ、どうなることやら…
おもしろい話ありがとうございました。
年俸とスポンサー収入っていうのがあったのですね。
なんとなくですが、レアルはベッカムを無理やり、負け続けても使ってたのもわかる気がします。
それで勝てなくなってきて人気も落ちるから、苦肉の策がカペッロを使って、ベッカムもはずして、とにかくタイトルをとらなきゃってことになったけど、結局・・・みたいな。
レアルと読売Gは、当分、不遇時代が続きそうですね。
ロナウドに関して、個人的に思うのですが、
口は災いのもとっていうか、
ダニエラってあのモデルと結婚するときも
「ワールドカップで優勝するよりむずかしいよ」とか
「コンフェデなんかどうでもいい」
とか、
くだらないことをいちいち吹かなきゃいいのにって思います。
なんか2002のときは怪我でずっと出られなくて、復活するためにひたむきにがんばってたロナウドがなつかしいですね。
大会中に移籍話を口にする選手とか、
そういう気持ち自体もう負けてるんでしょうかね。
ロマーリオだけはべつのような気がしますが。
でも個人的にはロナウドとロナウジーニョにはもう一度、復活してほしいです。ロナウドの全盛期の決定力は、やはりほしい。
こんにちは。
面白い記事をありがとうです。
ロナウドはほんとに正念場ですね。
フットボール選手としてのフットボールに対する誠実さをファンは見たいと思っていますが、今の時点では暗い予感がしています。
カカのコメントはフッチさんのとこでだったけ?批判したのは覚えてます。なので今WELCOMEなコメントをだしているのは単なる大人の対応なのだろうなと思ってました。この関係がどう変わるのか、それはロナウド次第なんでしょうね。
ミランはロナウドを取る事でどんなメリットがあると思ってるのでしょうか。プレーヤーとしては本人の意識さえ変わればまだまだスゴイと思いますが、それを変えてもらうのが一番難しい事のように思えますよ。
全然関係ないですけどカシージャスの年俸が上がったのはこの1年内のことでそれ以前はすごく少なかったらしいです。年俸のみの数字としてはずいぶん長くロナウドの方がたくさんもらってました。(当然か)
聞くところに寄れば
ジダン、ラウール、ロナウド、ベッカムは年俸は皆同じだったようですね。その肖像権収入で各自の差があったのでしょうね。
ローさん、
レアルのお家事情について議論するつもりはないのですが、ロナウドの移籍、ロナウドという選手を理解するのに、お金の話から考えてみるのも面白いかな、と思いました。
よく考えてみると、ミラン側はロナウドのマーケティング効果にまったく期待していないんだなあ、と。契約年数も知りたいところだけど、単年とかだったり。
今年、31歳で、ミランで失敗しても、カタールやら、アメリカやら、フラメンゴらが手を振ってくれてるし、まだまだバラ色気分から脱しないと思う。
ものすごいテクニックでゴールを決め、観客から崇められる。指をピンと立てて、にっこりと笑う。これが、ロナウドの全てだ、チーム事情なんか関係ない。
jumpinさん、
いやあ、またしてもレアルに対して辛口なこと書いてしまっていますが、このお金の話は、ある程度、客観的な事実にもとづいて、考えられる。
トスタンが言うには「ロナウドは謎」。
彼は彼なりに、自分の才能に対して誠実だとは思いますが。だからカペロのやり方に反発したのだと思いますが、いかんせんチームのことになると…
長いこと、jumpinさんも応援してくれたのに…チームを替えれば、自分の状況も変ると思っているのでしょう。やっぱ、4年間もノータイトルであること、これが一番いけない。
でも、あっしはカペロのやり方は偉そうで好かんとです。
ロナウド、移籍決定しましたね。ミランの公式に出ました。
ベッカムみたいにアメリカに行かずに、ミランとはまだ情熱が
続いているという事なのでしょうか。
彼は、セレソンではあらゆるタイトルを取ってしまい、
昔の様なモチベーションも欠如してコンフェデも出なかったのかも知れないですね。
コンフェデのブラジルは凄く纏まりがあって、個人的に
2006W杯メンバーより好きなのです。
決勝も南米対決というのも良かった。去年も決勝は南米対決とばかり思ってたのですが・・・。
ロナウドは全盛期より、怪我もあり劣化してしまうのは仕方ないですが、
体重管理は怠慢ですから・・。
2002年にロナウド大活躍、前回のリベンジ&ブラジル優勝に感動した身としては、
ミランでカカや他のブラジル人達と頑張って、
ロナウド復活を期待してしまうのですが、儚い夢なのかなあ。
さりさりサン
とうとう決まりましたね。
>ベッカムみたいにアメリカに行かずに、ミランとはまだ情熱が続いているという事なのでしょうか。
アメリカはともかく、中近東はイヤだったみたいですね。イタリアに移籍できたのは、何だかんだ言っても、彼がインテル時代で残した実績でしょうね。
たしかに、あんときは凄かったもん。一人でサッカーやってた。ロナウジーニョなんか目じゃないほど。まさに、”Fenomeno”、超常現象。
>2002年にロナウド大活躍、前回のリベンジ&ブラジル優勝に感動した身としては、
そうそう。あっしも、あのときの有り難さを忘れそうになる。「衰退」がテーマだったけど、いざ移籍が決まると「復活」を期待してしまいますね。
ミランの契約内容をみれば、基本的に出来高制になっているのがわかる。皆さんおっしゃるとおり、ここが、正念場ですね。
ああ、それに、ミランのもう一人のキーパーソンに、元鹿島のレオナルドの存在もあるようですね。リオ出身、フラメンゴ出身(ロナウド、が応援するチーム)、サンパウロFCで名を馳せた。いまミランのスポーツディレクターの一人。
ミランにサンパウロFC経由の選手が多いのも偶然ではない。
こんにちは いつも楽しい記事本当にありがとうございます。トヨタカップの記事の時は、感情移入しちゃって泣いてしまいました。
ロナウドの件は、正直、少し寂しいです。ずっと怪我する前から応援してたので、レアルに来た時は本当に嬉しかったです。
けど受けた非難を結果で貸せなければ終わりですね。残念です。
ところでオリンピック出場おめでとうございます。無いとは思いますが、決勝は日本対ブラジル希望です。 どちらでも初優勝!みたいな。(日本は当然、ブラジルは意外)
のぶサン、はじめまして。
こんなに独断と偏見だらけ(謙遜なし)のブログで、感動していただけるなんて、有り難うございます。
>ロナウドの件は、正直、少し寂しいです。
ほんとです、なんで、こんなに寂しいんだろ…やっぱ、どれだけ批判されても、スケールのでかい選手は違うものですね。結果、結果と言われるのも、やはり“看板背負える”からこそ。
今日、オ・グローボ紙に載ってました、ロナウドの実績:
・クルゼイロ(93-94)
59試合、57ゴール
・PSV(94?96)
71試合、66ゴール
・バルセロナ(96?97)
51試合、51ゴール
・インテルナッツィオナーレ(97-2002)
114試合、69ゴール
・レアル・マドリード(02-2007)
193試合、118ゴール
トータル488試合、361ゴール:0.74ゴール/試合
(膝を手術するまでのアベレージは、たぶん1.0ゴールはいってた)
あ、そうそう、セレソンでは102試合、72ゴール(0.70ゴール/試合)。
ふう…
オリンピック出場できました。でも、簡単ではなかったです。さて、日本代表はどうなることやら。アジアも厳しいですから。五輪本戦で対戦できたら、もちろん最高です。
>ラウールを残すのなら、ホビーニョを出してくれないかな。
稀有な才能なだけに今の状況はもったいないですねー。
見る機会が少なくなって寂しいですよ。
ここまで来るとラウールが他のユニをきる事が全く想像できないだけに余計に焦ります(汗)
それにしてもロナウドって結構期待されているんですね。
確かにPSV→バルサのときの成績は凄まじい。
ただスポーツ誌で車からバイバイしているロナウドの写真が載っていましたけど20歳の時の精悍さは微塵も無いなぁ(苦笑)
ヒロさん、
>稀有な才能なだけに今の状況はもったいないですねー。
やっぱ、ヨーロッパのガチガチは合ってないのかも。遊び心が優先してしまうから。よりにもよって、カペロとは。
セレソンでは、セカンドトップ(つまりレアルのラウールの位置)で、また違ったプレーになるだろうから、期待できます。
よく考えたけど、ロナウドはこれまで残してきた実績から、永遠にセレブ的な存在となるでしょう。どこに行こうが、構わない。その領域にいる。