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PostHeaderIcon コリンチャンスとブラジル・サッカーの空洞化

“ブラジル国内最強のドリーム・チームを作る”。これがSC(スポルト・クラブ)コリンチャンスとイラン人投資家キア・ジョルバキアン率いる投資ファンド“MSI”が資本提携したときの表明だった。あれから3ヶ月ほどがたち、公約どおりブラジルで2番目にサポーター数が多いといわれる(推定3千万人近く)コリンチャンスには8人の選手が立て続けに新加入した。


世界中が知るテベス(移籍金推定二千万ドル)をはじめに、こちらもアルゼンチン人DFドミンゲス(二百五十万ドル)、カルロス・アルベルト(ポルトから九百六十万ドルで移籍)、グスターボ・ネリ(ヴェルダー・ブレーメンから二百万ドル)、マルセロ・マトス(百万ドル)マリーニョ(移籍金なし)、アルゼンチン人ボランチ、ハビエル・マスケラーノ(千五百万ドル、ただし今年のリベルタドーレス杯終了後に移籍)、そして最新の加入がベンフィカに所属し、昨年はレンタルでフルミネンセでプレーしていたホージェル(三百万ドル)の8人が決まった。
さらに近日中にW杯V5メンバーの一人クレベルソン(マンU)の移籍が決定すると噂されている。
当初はルシェンブルゴ監督の獲得に失敗し、先行きが危ぶまれたコリンチャンス・MSI提携だが、公約どおり五千万ドル以上の巨額の資金を投入し有名選手を呼び寄せている。
なかでもアルゼンチンを代表するテベスとマスケラーノの獲得、そしてヨーロッパで活躍できなかったブラジル人選手の帰国が目立つ。
もともとコリンチャンスは熱狂的ファンを抱えるビッグ・クラブゆえ、生え抜きの選手が育つことはまれだった。しかし、上の選手達の選択には明らかに安全な投資回収を目指す姿勢が伺える。これは90年代前半のパルメイラスとイタリア乳製品コングロマリットであるパルマラットが提携した時のやり方と似ているが、今回の相違点は、もはやブラジル国内で成長株とみなされる選手が一人も投資対象となっていないことだ。
どの選手も才能は充分に備えているものの、アルゼンチン国内で太鼓判を押されたか、または既にヨーロッパ・デビューを果たしている経験者ばかりである。彼等にとってブラジル国内リーグは最終到達点でないことは、明らかだ。
コリンチャンス・サポーターは“良い選手が来るなら別にいいじゃないか”と言うだろうが、この“投機的”なチーム作りに違和感をおぼえる古くからのサッカー・ファンもまた多くいる。
では国内の有望株選手はどこにいるのかと聞かれれば、どこにいるかは誰も特定できない。ブラジル・サッカー連盟の統計では2004年には900人近い選手が海外に移籍したとされる。この数字は22クラブで構成されるブラジル選手権2回分に相当する。2005年に入っても、毎月50人以上のペースで選手が海外リーグに流出しているらしい。
この圧倒的な数字の前では、フラメンゴやグレミオなどのビッグ・クラブが即戦力を探し求めてもほとんど国内では見つからず、それどころか、ちょっと財政的に厳しくなると、有力選手はすぐさま海外クラブへ二束三文のような移籍金でサインしてしまう。たとえば2年前ミランに移ったカカの移籍金はたったの850万ドルだったことで知られている。その後のカカの活躍ぶりを考えると今回のテベスやカルロス・アルベルトの移籍金と比較してみても破格の安さだといえる。
当時のカカやホビーニョのような選手に投資をするのはリスクを伴うが、サポーターにとっても、彼等の成長ぶりを見るという大きな楽しみがある。一方、昨年のベースを殆ど解体し、いきなり優勝を義務付けられたチームと化したコリンチャンスは果たしてどういった形でサポーターを喜ばすことができるだろうか。
別の観点から言うなら、ここにきて無尽蔵に才能を輩出すると言われたブラジル・サッカーにも数の限界が見えてきた感がする。毎年、全国リーグ二つ分の選手が海外に移籍するなんて、たまったものじゃない。
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835 Responses to “コリンチャンスとブラジル・サッカーの空洞化”

  • Sao Paulo says:

    トラックバック有り難うございます。
    アルゼンチンだらけになってしまったコリンチャンスに
    違和感を持つファンは沢山いるようです。
    まあ、勝てばいいというのがほとんどのようですが。

  • こんにちは、
    アルゼンチンとは切っても切れない関係です。
    今後も話題は尽きませんね、(人種問題もそうですし)
    でも、コリンチャンスは今のところ良い方向に向かっているようですね。ブラジレイロラォンが見せどころです。

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