降格の炎?フラメンゴ編
ブラジレイラォンも残すところあと5節。優勝争いの行方は最後まで決まりそうもないが、もう一つ大きな反響を呼んでいるのが迫り来る降格の危機が生む悲劇だ。現時点で降格の可能性があるチームは10チーム(なんと参加しているチームの4割)で、降格圏にある下位4チームは下からグレミオ、グァラニ、フラメンゴ、パラナである。このままいけば日本でも知名度のあるグレミオとフラメンゴが降格するのである。この屈辱的な状況にクラブ・サポーターたちは怒りを抑えられなくなっている。
先週末、アトレチコ・ミネイロ(このチームも降格の可能性があある)にアウェーで6対1と大敗したフラメンゴは歴史上はじめて降格の危機にある。フラメンゴはブラジルで一番サポーターの数が多い(推定3,300万人!)クラブとして知られている。リオの国内線空港に到着したチームは一部の“過激派”サポーターに暴力で迎えられた。
チームが到着ゲートから出るや否、いきなり数人のサポーターが選手達を囲み、殴りかかろうとした。出口には数人の警備員がいたものの、辺りは騒然となり、選手達はてんでばらばらに逃げたという。
なかでもジーニョ(94年W杯優勝メンバー、元横浜フリューゲルス)のケースはショッキングだった。空港にはジーニョの父親が迎えに来ており、暴動が起きたとき、ジーニョとGKジュリオ・セーザル(セレソンの第二キーパー)はすぐさまジーニョの父親の車に乗り込むことができた。しかし、車はサポーターたちに囲まれてしまい、開いた窓からジーニョの父親がパンチを見舞われてしまった。これにはいつも温和なジーニョも激怒し、ジュリオ・セザールと二人で車から飛び出してサポーターを蹴散らしてしまった。当然、父親を殴った相手はボコボコにされた。その後、家に戻ったジーニョは二日たった今でも落胆を隠せない。
クラブの選手とサポーターが殴り合うとは、なんとも悲惨な出来事だといえる。フラメンゴの選手たちは大敗を喫したとはいえ、もう3,4ヶ月ほど給料を貰っていない。肝心の総責任者であるクラブ会長はチームと帯同しておらず、こうした事態を目の当たりにしていない。この状況にジーコも日本からクラブとサポーターに和解のメッセージを送ったそうだ。が、ジーコ自身数週間前にフッチ・ブログで取り上げたように「フラメンゴを降格させたらサポーターが黙っていない」と、選手達に脅迫的なメッセージを残した本人なのだが。
これら事情からみて、フラメンゴの選手達はあと5試合を平常心でプレーするのは難しいといえる。降格の可能性はさらに高まったといえよう。チームは今週末にはボタフォゴとの伝統の一戦が待ちかまえている。皮肉なことにボタフォゴも降格の可能性のあるリオのビッククラブだ。
到着ゲートでサポーターに罵られる選手たち、真ん中はアチルソン、このあと殴り合いがはじまる。