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PostHeaderIcon ロマーリオ、最終章

ロマーリオは今週リオで記者会見を行い、自身の引退試合を11月10日アメリカのロサンゼルス・コリゼウムで行うと公表した。同スタジアムは1994年W杯決勝戦の舞台でブラジルが4度目のW杯を手にした記念の場所だ。ロマーリオをはじめ当時のセレソンのメンバーを集め、同じく94年W杯のメキシコ代表チーム(こちらはGKホルヘ・カンポスの引退式を行う)と記念試合をする。だが、これで終わらないのがロマーリオの会見。その後、相変わらず爆弾発言を残していった。


「この機会にもう一度私の意見を表したいのだが、私は1970年代までのペレ世代の後に現われたブラジル・サッカー界の最高のプレイヤーだ」と、自らサッカーの王様に次ぐ第二の地位にあると勝手に表明してしまった。自分で言ってどうする?とツッコミたくなるところだが、早速ブラジル各紙でロマーリオの発言に対する読者アンケートが行われた。
リオ(ロマーリオの出身地)のオ・グローボ紙でのアンケートでは回答者過半数はジーコがペレの後に現われた最大の才能と答えた。しかしロマーリオを支持する読者も20%はいるそうだ。これについて同紙のコラムニスト、カランザンス氏は「ロマーリオが近年ブラジルが輩出した才能のなかでもスバ抜けているのは疑いの余地はない。彼はエリア内ではサッカー史上最高の芸術家。ただ引退が近づくにつれ、こういった話題を繰り返し吹聴する彼の姿勢にうんざりするだけだ」と道徳的な問題を付け加えていた。
もう一つのリオの新聞ジョルナル・ド・ブラジル(JB)紙のコラムニスト、トスタン(彼こそ現役時代“白いペレ”と称賛された)の意見では、“ロマーリオを単なる点取り屋として見てはいけない。絶頂期の彼はストライカー以上の、純粋な天才。70年代以降、ロマーリオとジーコとロナウドの3人がスーパークラッキだと思う、そのうちでもロマーリオのプレーが一番、鳥肌を立たせてくれた”と現役時代FWだったトスタンらしいコメントをしていた。
ロマーリオの星の数ほどのスーパープレーのうち最も話題になったのが94年W杯準々決勝のオランダ戦でのファースト・ゴール。ベベットの逆サイドからのクロスは腰ぐらいの高さでバウンドし、エリア内を横切ろうとしていた。ここでファーにいたロマーリオは、その後ブラジルのすべてのサッカー関係者を唸らせたあのプレーをした。
そのプレーについて、今は引退した名コラムニスト、アルマンド・ノゲイラ氏が後日こう書いている“あの中ぐらいの高さのクロス・ボールをシュートしようとすれば多分ボールは勢いで大きくホップしてしまっただろう、またトラップするには高さ中途半端でスピードがありすぎた。だからロマーリオは宙に舞ってコンマ数秒とどまり、ボールに逆らわず、チョンと触れて、いとも簡単にゴールを決めたのだった。この本能的なプレーは我々の度肝を抜いた。あの日、現地のスタジオにいた私たちは深夜までこの映像を繰り返し観て何度もため息をもらした”。もしこの映像を再度観る機会があればノゲイラ氏の言葉を思い出しながら、もう一度あのプレーを観賞してみてほしい。
フッチ・ブログとしては、このプレーに加え、グループ・リーグのカメルーン戦で飛び出してくる相手キーパーの、普通なら上を狙うところを、脇下を通したタッチも付け加えたい。
他にも若かりし頃のバスコ・ダ・ガマやバルセロナでのゴール・シーンや晩年のバスコやフラメンゴでのプレーはそれこそ珠玉の芸術品だ。スカパーに入っている人は今季CLリーグ開始前(8月頃)の歴代の名カード再放送(正式名は定かではない)でバルセロナ時代のロマーリオの雄姿を確認できた。
天才ゆえ、その我慢ならないエゴのおかげで彼は多くの称賛を逃したのも事実だが、ロマーリオのような“自分の意志をはっきり言える選手”はブラジルでも益々少なくなっている。
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862 Responses to “ロマーリオ、最終章”

  • jumpin says:

    このロマーリオのコメント
    「私は1970年代までのペレ世代の後に現われたブラジル・サッカー界の最高のプレイヤーだ」
    なんとも彼らしいというか笑ってしまいました。
    94年ワールドカップ、ベベットとのコンビはすばらしかったですね。
    遅れましたがTBありがとうございました。

  • フッチブログ says:

    ロマーリオ、今季ブラジル選手権(通称ブラジレイラォン)にバスコから出るそうです。

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