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PostHeaderIcon アドリアーノが要求を叩き付けた

エクアドルにふがいなく敗戦した後の帰路、一人の選手がマスコミを通じて自分の権利を主張した。いまヨーロッパ最高のFWの一人とされるアドリーノは記者陣に「もう学習期間は終わった」と話した。現在、イタリアのインテルでセリエAとチャンピオンズ・リーグ両大会で得点王争いに加わり、決定的なゴールを量産しつづける絶好調の“リンペラトーレ(ローマ皇帝)”。彼はいま地元イタリアのマスコミの質問に答えるのに窮するという。「なぜ自分ほどのプレーヤーがセレソンでは数分だけの出場機会しかないんだ、といつも聞かれる。俺に聞かれてもね。それは監督の考えだから、としか答えようがない」。


アドリアーノの昨季からの活躍ぶりを見ている人には、イタリアのマスコミの疑問に納得するだろう。ブラジルのマスコミも今年のコパ・アメリカ優勝の原動力となったアドリアーノに好意的だ。それについては本人も「ヨーロッパのシーズン・オフで疲れているにも関わらず今年のコパ・アメリカに参加し、セレソンを優勝に導いたことはパヘイラ監督が一番感謝しているはず」と監督に“貸し”があることを自ら主張している。
「自分はリオのスラム街に生れて今まで、欲しいモノはすべて自力で手に入れるしかない人生を歩んできた。いまセレソンに自分の場所を要求しているんだ。自分はレギュラーになる資格がある」。22歳の若い野獣が自分の権利のために吠えた。素晴らしいことだ。
リオのオ・グローボ紙のカラザンスはこう言う「ペンタ(5度のW杯優勝)の後、何人かのプレーヤーが不動のレギュラーとなってしまった、だが彼等は必ずしも良いプレーを続けているとは言えない、特にトップのロナウド、カカ、ロナウジーニョの3人だ」。この3人はそれぞれの所属チームでの重要度が高く(アドリアーノもそうだが)、いつも万全な状態でセレソンの試合に臨めていない。
現レギュラーの3トップについては、アドリアーノ本人も「自分とトップの三人が共存できないとは思えない。4人でのフォーメーションは一度、親善試合などで試すべきだ」と提案する。だがパヘイラ監督自身、後日の記者会見で「カカ、ロナウド、ロナウジーニョとアドリアーノの4人を同時にプレーさせるなんて無理だ。いまのサッカーは攻撃だけでは成り立たない」と可能性を否定している。
現実的にはアドリアーノがレギュラーの座を奪い取れば、昨季のように好調ではないカカに替わってトップの左に入り、ロナウドが右(というより真ん中)、ロナウジーニョがトップ下で後ろから来るという三角形となる。ただし、この場合ロナウジーニョはカカほど守備意識が無いため相手は中盤を支配しやすくなるという大きなデメリットがある(バルサの最大の心配事はこれ)。あるいは、アドリアーノがロナウドの替わりに入る可能性もあるが、最大の経験値を持ちペンタの立役者であるロナウドを外すのは難しいだろう。
ひとつ言えるのは、チームも個人も安泰してしまえば落ちるだけだ。アドリアーノもっと吠えてくれ!
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