セレソン始動!
W杯いよいよ開幕。そう、セレソンにとって、今日6月13日がワールドカップの正式な開幕日、初戦のクロアチア戦なのである。
はっきりいって、怖い。これまで、強豪国が順当に勝ってきているが、我がセレソンが予想どおりの力を発揮できるのか、正直、気が気じゃない。クロアチアは絶対、あなどれない。
そこで、初戦を前に、あっしが感じているセレソンの不確定要素を整理してみた。
これまで各国チームの試合を観ていて、わかるのは、本番での緊張感は選手も想像しなかったほど大きいようだ。世界のトッププロが、ピッチで何していいのかが分からなくなる。ひとつの国を背負うことのとてつもないプレッシャー。単純な実力差だけでなく、様々なメンタル面での要素が影響してくる。まして、優勝候補の筆頭として、世界中から期待されるセレソン。彼等が感じるプレッシャーは半端じゃないはず。
それでも、セレソンはフィジカル面や戦術面のいずれでも、予選リーグではピークに持っていかない、とパヘイラ監督やザガロ・テクニカルコーディネーター(TC)も公言している。それは、いくぶん余裕を見せている面もあるが、試合をしながら、チームの最終チューニングを繰り返していくということでもある。真剣勝負でないと、試せない点もあるということであり、そこから、さらに1ステップ、2ステップ伸ばしていかないと決勝まで到達できない、ということだろう。具体的に、何をどう伸ばすのか、素人のあっしには想像もつかないが。
まず、セレソンの最大の疑問点が、エースストライカー、ロナウドの調子だ。4月上旬に太ももを怪我して以来、勝ち点3のかかった公式戦に出ていない。だからこそ、と言うべきか、合宿中は周囲を騒がせた。本人のために制作された新しいスパイクが足にあわず、マメができただの、熱を出したり、ブラジル大統領とはメディアを介して口論を演じ、太ったの、太ってないだの、根本的にサッカーとは関係ないところで、話題になった。
ロナウドという存在、シンボルはいまでもセレソンには欠かせない。だから、初戦で彼にはやく試合勘を取り戻してもらい、ゴールをあげてほしい。
客観的にいえば、彼とアドリアーノのツートップはとりわけ上手く機能しているとはいえない。この二人が組む場合、アドリアーノが右サイド、ロナウドが左サイドに開いて、ゴールに切り込んでいく形になるが、案外、パターンが似通っている。二人とも、“重たい”のである。
カルテット・マジコ(昔はファンタスティック・フォー)の良さは、背後からロナウジーニョとカカが入れ替わり、立ち替わり、前線の選手を通り越して、相手守備陣を突破していくこと。しかし、前線にロナウドとアドリアーノが止まっていると、ニュージランド戦の強化試合のように、意外と単調なワンツーになる場合も見受けられた。
だからといって、瞬時にゴールをすることができる選手たちに対して、そこまで難癖をつける必要はないだろうと思えるが、実は、控えのホビーニョが凄くいいのである。ホビーニョがロナウドまたは、アドリアーノの代わりに入ると、カルテット・マジコが“水を得た魚”になる。
ホビーニョはもう、右も左も、中央も関係ない、縦横無尽にパスとドリブルを織り交ぜ、カカとロナウジーニョと素早い連係を保ちながら、相手守備陣を解体していく。さらに、守備面でも不思議と相手の背後からボールを奪うのを得意とし、守備の貢献度が高いのである。
ホビーニョは、セレソンの攻撃に必要なアクセントをつけることができる。それに、ここ1年で彼はずいぶんと上半身が強くなった。本人いわく、「レアルで3キロ増えた」らしく、ヨーロッパ・スタイルにどんどん適応していっている。
とりあえず、いまはスーパーサブとして使われるだろうが、ロナウドがはやく、本領を発揮しなければ、レアルでもチームメイトのホビーニョにレギュラーの座を奪われる可能性がある。
来い!来てくれ!ホビーニョ
そして、もうひとつ、面白いバリエーションが、ジュニーニョ・ペルナンブカーノの使い方だ。もはや、エジミウソンがいなくなり、パレイラの好きな守備的な3ボランチという戦術オプションが薄れつつある。勝っているときに、中盤を固めてしのぐのではなく、ゼ・ロベルトの代わりにジュニーニョ・ペルナンブカーノを入れ、カルテット・マジコを引かせ、後方から一気に仕掛けるというパターンも合宿中、観られた。ボランチの位置からの司令塔、はたしてジュニーニョ・ペルナンブカーノなら、この役割をこなせると期待している。
守備面ではどうか。これまで他チームの試合を観た限り、セレソンにとって空中戦への対応が最重要課題なのは、いうまでもない。クロアチア、オーストラリア、次いで、順当にいけばチェコまたはイタリアと対戦していく。
失点パターンといえば、やはりサイドバックが上がったところをボールを奪われ、その裏をつかれる。例えば、やむおえず、ルシオがサイドに対応しにいき、最終ラインには、フアンとエメルソンだけ。そこに、早いクロスを入れられ、失点。チェコあたりが、最も得意とする形のようだ。
これは、どうしょうもない。パレイラ監督は一度も3バックを試したこともないし、サイドバックの裏をカウンターで突破されたときは、もう祈るしかない。相手が3点とってくるなら、こっちは4点とってやらあ!と。それに、ジーダもポロッとやらかすので、サポーターも心構えが必要だ。
だが、もし試合を負けているなら、こうしたリスクを冒してでもサイドバックを駆け上がらせて点を取りにいかないと。だから、勝っている試合では、両サイドバックはさして上がらないだろう。
それにしても、強豪チームの攻守の切り替えの早いこと。なかでも、アルゼンチンとチェコの2チームには恐ろしいポテンシャルを見た。いずれにしても、ボールを奪ってからフィニッシュにいたるまで時間のかかるチームは優勝できないだろう。パヘイラ自身が言っている「このW杯は、“攻守の切替えの早さ”の競い合いになる」と。
だが、早いだけでない、意識的に遅らせながら、常に相手の思考の裏をかいくぐる。これが、南米のサッカー、ブラジルサッカーの妙味だ。単調なパターンにだけは陥ってはならない。
カルテット・マジコは攻撃力だけが評価されるが。パレイラ監督の狙いは、攻撃をしながら、ボールを奪われても、相手に早い攻撃を仕掛けさせない、という域を目指している。ボールをしっかり支配すること、そして取られた瞬間、相手に形を作らせない、“ボールを奪われる形”までを意識して、攻撃しろと。
本当にそんなことが出来るのか?ああ、セレソンならできるはずだ。このことを、具現化できる選手として、カカ、ゼ・ロベルト、エメルソン、ジュニーニョ・ペルナンブカーノ、ホビーニョとアドリアーノの名前をあげたい。「ロナウジーニョ!ロナウジーニョ!」では、優勝できない。
とくに、カカ。これまでの合宿でも、ずーっとパヘイラ監督と戦術について細部まで話し合っているという。強化試合を見る限り、彼の動きは、ミランのときと、かなり違うし、まさにチームに必要な「心臓」になってくれる可能性がある。ザガロ翁いわく「カカは、セレソンのクライフになるかもよ、フフフ」と。なってくれよお、お願いだ!
とはいえ、すべては机上の理屈にすぎない。勝負は戦ってみないと、わからないもの。ああ、緊張で何も手につかない。
うぉぉぉっ!きたぁ!!いよいよ今日セレソンの登場ですね!
またもや深夜の試合ですので、妻と子どもを起こさないように観戦しますよ?!
フッチブログさんの考察、興味深く拝見しました。
ロナウドの体調は気になるところですが、ロビーニョが好調なのはいいニュースですね。ロナウドを90分フルに使わなくても戦力を維持できるのは、決勝まで進むことを計算しているブラジルにとっては好材料なのは間違いないですよね。
「このW杯は、“攻守の切替えの早さ”の競い合いになる」というパレイラ監督の言葉を考えるならば、攻守において「カウンター」がひとつキーになりそうです。
守備のポイントは、両サイドバックが上がった裏を使われるカウンターへの対処です。これはCBが1枚ずつずれてボランチが1枚下がることに加えて、セカンドボールに対する中盤の選手の反応を高めることが必要だと思います。今大会、ミドルシュートのゴールやシュートが印象的ですよね。変化しやすいボールといわれてますし、カウンターのこぼれ球をドンッ、てやられることもありえそうです。ゼ・ロベルトのポジショニングがDFに吸収されずなおかつDFラインから離れすぎないあたりにうまくとれて、体を寄せてコースが切れたら簡単にはやられないと思いますが。
攻撃のポイントですが、前線は基本的に心配ないですね。ロナウドやアドリアーノの瞬発力と決定力はいまさら言うまでもないですし、ロナウジーニョ、カカのゴール前へのフリーランニングもすばらしいですから!したがってポイントはDFやボランチの選手からいかに精度の高いボールが早いタイミングで出せるかではないでしょうか?そういう意味では、フッチブログさんの言うようにジュニーニョ・ペルナンブカーノを司令塔的ボランチに使うのもアリですね!
ま、先制して、攻めさせて、カウンターでドンドンッてのが一番楽な展開なんでしょうけど、ブラジルのそういうサッカーは見たくない(笑)あと他の強豪国も鋭いカウンター持ってますね?。ただ、ブラジルは遅攻もハイレベルでできる点が、他の国を抑えての優勝候補たるゆえんでしょう。
結局は、フッチブログさんの言うとおり(ブラジル国民が考えるとおり?)3点とられても4点とって勝ちゃあいいんだろ!?的な考えでいくっきゃないですね?。そこはセレソンを応援する者として当然の心構えですよ(笑)
ちなみにセレソンでミドル(ロング)シュートの精度が一番高いのって誰なんだろう?
Hirobinhoさん、
すべては、パヘイラ監督のバリエーションですから、どのタイミングで行われるか、ですね。
技術的な話をどれだけしても、メンタル部分がどこまでおっつけるか。
だって、カラザンス氏が言うには、「セレソンに勝ったチームは、優勝したようなもんだ」ですから、相手はどれも、決勝戦に臨むようなもんですよ。マジ、やりにくいったら、ありゃしない。
まして、普段、トッププレーヤーと呼ばれる者たちが、本番でビビッてるのが、わかるんです。
そこを充分に理解していないと、セレソンはむしろプレッシャーにやられる。
>ちなみにセレソンでミドル(ロング)シュートの精度が一番高いのって誰なんだろう?
それは面白い考えですね。今大会、誰がミドルで決めるのか?あっし的には、アドリアーノが下がって受けたとき、「エイッ!」って決めちゃいそう。他は、やはりロベカルとジュニーニョかな。
何だかんだいってもセレソンが出てこないとW杯が始まったって気がしませんね?。
初戦はグループナンバ?2といわれるクロアチアですが前の試合では引き分けていますね。
ゴールシーンが多くみたいですけど、初戦ということもあり僅差の勝利になるんでしょうね。
ただ今回は言われるとおりロナウジーニョだけじゃなく、相方のカカも絶好調なんですよね。
今回が最後になるであろうカフーとロベカルコンビ。
そして個人的に大注目なジュニーニョ。
ルシオもファンもクリスもビッグチームに所属する好プレイヤーですからやってくれるでしょう!
楽しみなことばかりでウキウキしています!
おはようございます!セレソン白星発進、まずはよかったですね。朝から見ていた甲斐がありました。
ヒロさん、僅差のスコアという予想、1?0でそのとおりになりましたね。そして、「カカも絶好調」というコメントもずばり的中、ゴールを決めました!トラップからシュートまでほんとエレガントなミドルシュートでした。(そしてやっぱり距離の長いシュートでの得点でしたね。ここは僕の予想あたったかな笑。ロベカルの惜しいシュートもありましたし)
フッチブログさんの考察、いつも新しい視点を与えてくださって感謝です!メンタル面の充実が最後はやっぱり大事なんですよね?。ところでフッチブログさんは、今日の試合の選手たちの精神状態はどう見ましたか?僕は、あんまり緊張しているようには見えず、むしろ必要以上に抑え気味に見えました。(メンタルのピークも後にもってくるため?)悪く言ったら、淡々とプレイしているというか…。こんなものなんでしょうか??
あと、気になったのがロナウド。あれでも、心配ないんですかね?ゴールが一番の薬になったんでしょうが…
そして後半にロビーニョが交代で入ったとたんにチームが活性化しましたよね。フッチブログさんがおっしゃるとおり、ロナウド⇔ロビーニョの入れ替わりも十分ありえるなって思いました。
次はオーストラリア戦。ここも勝ってさっさと決勝トーナメント進出を決めてくれ!(日本代表のためにも笑)
ヒロさん、Hirobinhoさん、
返事が遅れました。疲れ切ってます、セレソンのふがいない試合に。
近年、W杯でも希に見る、体たらくなセレソンのデビュー戦でした。率直な意見です。
やっぱりなあ、騒ぎすぎた。「カルテット・マジコ」の影もなく、後半はクロアチアに同点されていても、おかしくなかった。
おっしゃるっとおり、ロナウドは何ですかね?試合中、ずっと歩いてた。ワールドカップ初、「走らない選手登場!」
もう、後半早々から、はやくホビーニョ入れてくれ、と。ロナウドのためにも、同点にされるわけ、いかなかった。
それに、ロナウジーニョ。バルサでのポジションが上手くいかない。なんか、端っこ、端っこへと追いやられる感じで、結局、ボールを取られる。彼には、工夫が感じられなかった。
それにアドリアーノは本当に不調。こっちも重傷です。彼の代替えも考えないと。
次のオーストラリア戦でかなり改善してこないと、セレソンの優勝はないかも。
勝ったとはいえ、そこまで、深刻な事態だと思います。