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PostHeaderIcon ルシェンブルゴ監督、サントス就任

ルーシャはほんと、ワーカホリック。
12月19日ブラジル帰国、21日サントスFCの監督就任発表。
「サントスをもう一度、世界シーンで輝けるチームにする。昨年、途中で放り投げたプロジェクトの再建だ」
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ブラジルで最も全国タイトル数が多く(5度)、勝利数も多い監督が戻ってきた。
フッチブログの予想では、レアルに解雇された後、ルーシャはヨーロッパに残ると思っていた。しかし、彼はブラジルで働くことを選んだ。
様々な憶測があるが、なんといってもサントスでは自由に仕事する権限を与えられたからだろうと思う。その自由とは、チームを指揮するといった狭い範囲に収まらない。
ルーシャの数々の現地インタビューなどを吟味すると、ある考え方が浮き彫りなってくる。それは今後のブラジル・サッカーの新しい監督像の在り方になりえる。
実際、ルーシャがサントスの監督に就任すると、いの一番でコリンチャンスのGKファビオ・コスタがサントスと契約した。これで、コリンチャンスは正GKを失った。ファビオ・コスタは02年全国制覇をしたサントスのGKだったが、ルーシャと仕事した経験はない。
ルーシャが監督に就任しただけで選手たちはサントスに行きたがる。サントスはホビーニョ売却後、財政面でも潤沢な資金があるから、給料面でも優遇されることは言うまでもない。
こうした流れをベースに、ルーシャは前から監督業の傍ら選手のマネージメントも同時にしたいとことをほのめかしていた。つまり、自分がチーム作りの総責任者として、選手の移籍の斡旋まで仲裁する。チームを優勝させ、もちろん選手の評価も上がった暁には、海外チームに移籍させるなど、自分も推薦者としてリベートをもらう。
ルーシャは実はレアルでこれをやりたかった。だが、サッキという“目の上のたんこぶ”がそれを阻んだ。それでも、ホビーニョやシシーニョといった選手の移籍に直接関与していたことは間違いない。誤算は、ルーシャの方が先に解任されてしまったことだった。
サントスへの復帰は、すべての裁量を任せられることが条件にあったと思う。だから、ルーシャは会見でも「いま、新しいプロジェクトへ向けて、若い才能を物色している最中だ」とあえて語っていた。ルーシャが直接、選手への“投資部門”を指揮するのである。クラブ側もルーシャの眼鏡にかなう選手なら間違いない、という信頼をおいている。
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ルーシャは2000年ブラジル代表の監督を務めていたとき、脱税、セクハラなど数々のスキャンダルが明るみになり、退任している。そのとき、一部選手の海外移籍のさい、リベートを貰っていたという容疑がかけられたが、その手法こそいま、ルーシャがクラブの後ろ盾を受けて堂々とやろうとしていることだ。
こうした考えはルシェンブルゴに限ったことではない、選手の起用については監督が権限を持っているのだから、どの監督も選手のキャリアに対して代理人をはるかに凌ぐ強い影響力を行使できる。監督の延長線上にあるゼネラル・マネージャー的なポジションは、現パルメイラス監督のエメルソン・レオンもいずれ就きたいと言っていた。
ほかにも、バルサにロナウジーニョやデコ、エジミウソン、ベレッチ等を薦めたのはルイス・フェリッペ・エスコラーリ監督だと言われており、移籍成立後、フェリポンはおそらく何らかのリベートを貰ったはずだ(バルサから?それともナイキから?)。
名監督で噂を聞かないのは、現職セレソン代表パヘイラ監督だけだ。話がセレソンに及んだついでに、W杯後パヘイラ監督は退任の意志を表明しているが、その後釜にルーシャのセレソン入りの可能性も高い。これこそが、彼がヨーロッパで監督を続けなかった最大の理由ではないか、と推察する人も多い。
ルーシャのやり方は本来の監督業から逸脱した行為だと非難することもできるが、毎年、新しい才能を輩出しつづけるブラジル・サッカーに見合った仕事のやり方かもしれない。
前にレオン監督が言っていたこと、「選手というのは、何歳になっても子供みたいなもんだ。知らない人が美味しそうな菓子をちらつかせば、すぐに飛びつく。そんな彼等を護ってやり、面倒を見て、大人の人間にしてやるのも、俺たち監督の仕事だ」。
「人間的に成長してこそ一流の選手になれる」なんてのは選手が誰かから教えてもらった言葉にすぎず(野球のイチロー選手なんかが、好んでのたまう語録)、才能あるサッカー選手だって、けっこうガキっぽい発想しているものだ。マンUのクリスチアーノ・ロナウドなんかが良い例。
「そんなガキどもをじっと観察し、長所を伸ばして、短所を直してやるコーチング・スタッフこそ世界最高と言われるブラジル・サッカーを支える最良の人材なんだよ」。「なぜ、ブラジルは常に才能を輩出できるのか?それは、俺たちコーチング・スタッフが世界一優秀だからだよ」と、レオンは自信げに言っていた。
原石を磨く彼等にも、やっと金儲けの出番が回ってきたというわけだろうか。それなら、まあ頷ける。
パルメイラスの練習を指揮するレオン
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