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PostHeaderIcon アレックスとリケルメ、昔ながらのミッド・フィルダー

今回の06年W杯南米予選二連戦で二人の中盤選手の存在が注目されている。ブラジルのアレックス(フェネルバフチェ)とアルゼンチンのリケルメ(ビジャレアル)。二人とも一戦目で、それぞれの代表チームの勝利に貢献し、二戦目ではさらに期待がかかる。アレックスはレギュラーのカカがカード累積で出場できないためスタメン濃厚、リケルメも新監督ペケルマンのもと、ライバルのアイマールの負傷のおかげで2試合連続でスタメンが確実視されている。


この二人に共通する点は意外と多い。二人とも早々と大型新人と言われながらデビューし、様々な挫折や批判を受けながら20代後半にさしかかった。彼等はもう自らのスタイルを確立しており、今後はいかにそのスタイルの範囲内で最高を生み出すか、という円熟期へ向かっている。
スタイルの確立といっても、それは半端じゃなく高いレベルの話だ。この二人は殆ど平面的に行われるサッカーを瞬時に、いとも簡単に3次元のゲームに変えてしまえる創造力の持ち主だ。60年代、70年代の典型的な中盤といったイメージがする。ディフェンダーからボールを受け取り、ゆっくりとキープしながら周りを見回し、走りだしたウィングに40mのロング・パスをピンポイントに送る。ノスタルジックなシーンだ。
今のサッカーはいかに相手のスペースを潰し合うかが大切だから、彼等のような中盤はよっぽどスキルが高く、精神的にもタフでなければ務まらないはずだ。とくに二人ともディフェンスがからっきし駄目だから監督は起用に困るだろう。また、3次元ゲームを結実するには理解者であるパスのもらい手も不可欠だ。彼等が活躍するには彼等のためのチームを作らなければならいが、このターンオーバー制時代にそんなことは不可能だ。まさに彼等は旧式のプレイヤーなのである。
ブラジルではアレックスのことを典型的なアルマドール(仕掛け人)、ランサドール(長いパスの名手、アメフトのQBに匹敵する)と呼ぶ。残念ながらアルゼンチンの歴代のランサドールは知らないが(マラドーナは凄いランサドールでもあった)、ブラジルで最も有名なのがジェルソンだ。ジェルソンは70年W杯を優勝したセレソンの10番で、当時の映像が残っている(初戦のチェコ戦では決定的な2本のロング・パスで試合を決めている)。ジェルソンのプレーは“フィールドの隅々まで視野にある”といわれたほど完全にピッチ空間を支配していた。
名コメンテーター、トスタンも今のセレソンのトップ下にアレックスをプッシュしている。彼の言い分は、ロナウド・ロナウジーニョ・カカの3人が揃うと、短いパスを繰り返しエリアの真ん中を突破しようと集まる傾向があるという。それ自体すごいことだが、さすが歴代の名プレイヤーのコメントである。ここにアレックスが入ればプレー範囲がたちまち立体的になり展開が大きくなる。ただし、受け手のトップも必要だ。トップはウィング的な動きも必要とされるから、アドリアーノも良いが(これがベネズエラ戦最後の20分)最適なのはホビーニョだ、とまでトスタンは仰っておられる。フリークとしてはそんなチームを一度でいいから見てみたい。誰がチームから出るのかは聞かないでほしい。
アレックスとリケルメ?フッチ・ブログはこの二人に活躍してほしいと願う。はっきり言ってそれぞれカカとアイマール(彼等も好きなのだが)から代表チームのレギュラーの座を奪い取ってほしい。そしてオールド・スタイルのランサドールを復権してほしい。
アレックス、このキックが空間を支配する
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