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PostHeaderIcon 青田買い…青田買い…

ヨーロッパ・クラブによる南米選手の青田買いはもはや歯止めが効かない。今週はバルサとアルゼンチンのリーベル・プレートで12歳の少年の“移籍”について綱引きが開始された。アルゼンチンのDiario Oleの記事にあるが、リーベルのユースが今年スペインやフランスに遠征したとき、バルサのカンテラ(下部組織)のスカウトがリーベルの1人の少年に“目を付けたという”。


バルサは少年をスペインに連れて行き4年後の16歳にカンテラに登録するため、年間12万ユーロ(一千万以上)の生活補助のオファーを出した。これには少年の両親も気持ちが傾いているという。
問題はこの移籍によってリーベルには一銭も入らず、将来有望な選手(といっても12歳の時点で将来が決まるわけはないが)を失ってしまう。以前もアルゼンチンではニューウェルズのメッシが13歳でバルサに行ってしまった(今年バルサで来日している)同ケースがあり、AFAアルゼンチン・サッカー協会も自国クラブの損失に傍観はしていられなくなった。少年は7歳のときからリーベルのスクールでプレーしはじめた。
ヨーロッパのサッカー・クラブはもう選手の育成が主な仕事でなく、投資と金銭感覚に優れたマーケティング作戦で、あの手この手を使って南米やアフリカの選手を(安く)買い漁ることが、運営手腕の一つとされているようだ。その結果、ヨーロッパにはもう優れた選手が出てこない。唯一、国をあげて選手育成に勤しんだフランスがジダンやアンリを要しているだけ(実際、彼等も元は貧しいアフリカ系移民の出身だというが)。
ちなみにブラジルでは6年前にインテル・ミラノのスクールが全国に数カ所設立され、「貧しい子供達にサッカーと生活の基盤を与える」とうたっていた。このプロジェクトはアフリカなどでも行われているというが、今イタリアのインテル・ユースに行けば貧しい国から来た子供達が沢山いるだろう、将来のアドリアーノやマーティンスを夢見て。一見たいした慈善事業にみえるが、実は格安(移籍金や高額年俸なし)な出費でタレントの原石をイタリアに持って帰れるメリットのある事業なのは否めない。
ただ不思議とサッカー設備の整ったところではクラッキは育たない。ペレ、ジーコ、マラドーナやジダンなどが口を揃えて言うように、スーパーテクは原っぱやストリートで身につく。小さな子供が体力で勝る年上相手に何度も突破を試みる。ブラジルのどの町にもある貧民街には必ず周囲から天才といわれるガキが1人はいる。
幼いマラドーナが小汚いスラム街で干した洗濯物をバックにリフティングしている映像は世界中が知っていると思う。これを観ながら、将来この子がしでかす偉業を思うと、つくづくサッカーの奥深さについて思い知らされる。
ヨーロッパのビッグ・クラブは南米から少年達を連れて行くより、もっと地元の原っぱを増やし、スカウトに街角を徘徊させるという手段をとればどうか(ナイキのストリートもどきとは違う)。ビジネス大国はそんなノンキなことやってる暇はないと怒られるのがオチか。
ブラジル固有の問題は、ブラジルは国力だけでいえばイタリアと同等、スペインやポルトガルやトルコなどに勝るのに、なぜに国内リーグやクラブ運営はこんなにもずさんなのか。これは誰のせいでもない、そこに真の問題が潜んでいる。
出でよストリートのクラッキたち
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