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PostHeaderIcon ブラジル選手権について(7月)

やっと今年のブラジル選手権について語る時期になった。ヨーロッパ・シーズンが終了し移籍市場が開始され、南米予選、ワールド・ユース、コンフェデ杯、リベルタドーレス杯と立て続けに影響を受けてきた各クラブが互いにしのぎを削っている大会である。


全国を代表する各クラブが四苦八苦しながらも最大の目標にしているのが今年4月に開幕し、22チーム総当たりのホーム&アウェー方式で12月に終了するブラジル選手権、通称ブラジレイロン(ブラジルではかなり前からセリエAとも呼ばれるが、イタリアの影響か?)である。
この週末に第12節が終わったばかりで、現在の上位ランク(4位までが来年のリベルタドーレス杯、5位から11位までの7チームが日本でも放映されているコパ・スダメリカーナ出場)と下位ランク(降格4チーム)の順位は次のとおり:
チーム順位           勝ち点
1 ポンチ・プレッタ       26
2(我が)インテルナショナウ   25
3 サントス           24
4 フルミセンセ         23
(リベルタドーレス圏内)
5 コリンチャンス        22
6 ボタフォゴ          21
7 サン・カエターノ       20
7 クルゼイロ          20
9 ジュヴェントゥージ      19
10 パラナ            18
10 フォルタレーザ        18
(コパ・スラメリカーナ圏内)

14 サンパウロ          15
16 パルメイラス         13
17 フラメンゴ          12

(降格圏)
19 フィゲイレンセ        10
20 アトレチコ・パラナエンセ   9
20 ヴァスコ・ダ・ガマ      9
22 アトレチオコ・ミネイロ    8
となっている。
大会は42節中12節を終えたばかりで、現時点ではどのチームが優勝候補なのか、はっきりいって挙げることができない。つい4節前までは現在6位のボタフォゴが首位だった。
フッチブログも世界中の大会にうつつを抜かしていたが、ブラジレイロンを観ていなかったわけではない(あにいく日本語環境では観ることはできないが)。現時点での総括としては、順位表とは関係なく、やはりサンパウロ州の4大チーム:サントス、コリンチャンス、サンパウロ、パルメイラスが総合的な力で群を抜いているように感じる。
現在、上位を占める他のチーム:ポンチ・プレッタ、(我が)インテルナショナウ、フルミネンセやサンカエターノは大会開幕前にチームが出来上がっており、安定して勝ち点を稼いできたが、大会の中盤から終盤にかけてこれ以上の伸びしろが望めそうもない。
一方、サンパウロの4大チームに共通するのは、海外市場や国際大会に中心選手を奪われながらもチーム作りを進めていて、終盤に余力を残していること。これらチームを詳細にコメントしてみると:
「サントス」、昨年の覇者。6月にセレソンにFWホビーニョ、左SBレオ、MFヒカルジーニョを持って行かれリベルタドーレス杯で敗退。これが引き金となり、レオがベンフィカに移籍、FWのデイヴィジがボルドーに復帰、そして最大のスターであるホビーニョがレアルに行きたいと表明しチームを離脱した。代りに、ジオヴァンニ(元バルサ)をオリピアコスから呼び戻し、これが大当たり。他にも補強を進めながらチーム力を維持させている。(噂ではデニウソンをホビーニョの代りに呼び戻したいそうだが、年俸的に無理?)
「サンパウロFC」リベルタドーレス杯を優勝し、積年の目標を達成。遅ればせながらブラジレイロンに照準を合わせ始めた。この間、FWジエゴ・タルデーリなどをワールドユース、コンフェデ杯に右SBシシーニョ、さらにFWグラフィッチが膝手術で半年はリタイヤ、FWルイゾンがJリーグ入りと、なかなかスタメンを固定できないでいる。今後、世界クラブ選手権と両にらみをしたチーム作りが想定され、確実な伸びしろが期待できる。
「コリンチャンス」、今年前半の目標をまったく達成できず、酷評された金満オーナー、キア・ジョオラビキアンが話題だが、新監督マルシオ・ビテンクールの意外と安定した采配とリーベルから獲得したボランチ、マスケラーノの加入で実力を発揮しはじめいている。CBアンデルソンはベンフィカに去り、長年のアイドルFWジウが東京ヴェルディに移籍したものの、テベスの活躍著しく(まったく復調)やFWジョー(まだ18歳でリバウド2世と言われ始めている)などの若手がチームを引っ張る。これであとチーム内の調和さえ取れれば(中盤の要カルロス・アウベルトが絶不調、他にもグスターヴォ・ネリやホージェル(元ベンフィカ)などのクラッキを要する)優勝候補の筆頭と言えるほどのポテンシャルを持つ。いま一番の破壊力を持つチーム。
「パルメイラス」一番低迷しているが、フッチブログ的には最高の中盤を要する。ジュニーニョ・パウリスタ、ペドリーニョとマルシーニョ(昨年はサンカエターノ)の3人のクラッキが繰り広げるパスワークは見事。ただケガの影響などで3人がなかなか一緒に揃わない。中盤底の仕事人マグロンを横浜マリノスに持って行かれたが、攻撃力のあるフォワードさえ補強できれば、やはり上位で戦える実力を持つ。ただ、波が多く優勝の道のりは険しい。
ヨーロッパ・リーグの移籍締め切り時(8月最終日)までどれだけ主力選手が流出するかは未定だが、比較的に長期を見越して戦えるチームがやはり今後は上位を占めていく。もちろん選手を移籍させて得たお金は給料や賞金などの支払いにも回されるという利点だってある。
チーム経営に触れたついでに、今年もリオの4大チームのうちフルミネンセとボタフォゴを除いてフラメンゴとヴァスコの2チームは優勝どころか降格争いに巻き込まれそうな状況にある。実は、それぞれのチームはそんなに悪い戦力を有しているわけではないのだが、とにかくリオではそれぞれのサポーターのプレッシャーが半端じゃない。とくに今年はヴァスコの焦燥感がひどい。
同じようにブラジル・サッカーの名門アトレチコ・ミネイロが瀕死の状態にある。先日リベルタドーレス杯の決勝で敗れたアトレチコ・パラナエンセも当面は降格ゾーンからの脱出に尽力しなければならない。
広大な国を縦横無尽に行われるブラジル選手権では一つのチームの覇権は長くてせいぜい3年、世界で最も広大なスペースで行われ、最も競争力のある大会という自負が今でもある。「ヨーロッパのリーグなんか、いつも同じ2,3のチームが入れ替わりで優勝するだけじゃないか」これがブラジル人の言い分だ。ブラジレイロンを優勝したクラブは数多くあり、大会の歴史を綴れば悠久ロマンス「三国志」の登場人物さながらに豊富な数のクラブが群雄割拠してきたのだ。歴代チャンピオン表は下記リンク:
http://www.gazetaesportiva.net/historia/futebol/campeonato_brasileiro/campeoes.php
しかし、これだけブラジル人選手が海外へ流出してしまったいま(毎月70人のペース)、ブラジル・サッカーには指標となるスーパープレーヤーが殆どいなくなってしまった。というか、指標そのものが海外に移ってしまった。このテーマは別の機会で展開するが、それでもブラジレイロンは世界で最もタレントを輩出するリーグに変わりはない、それを証明しているのがセレソンである。
イケー!前に進むんだ、ブラジレイロン
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日本のサッカーメディアの方、もしもこの文を読んだなら、ブラジレイロンの放映を何とか復活させてください。

999 Responses to “ブラジル選手権について(7月)”

  • Goaly says:

    コリンチャンス調子上げてきましたね。
    アルゼンチーノの“マスケラーノ”が入ってきてさらにバランスがよくなりましたよ。
    OMFのホジャーが攻撃に専念できるようになりましたし、いい事尽くめです。
    逆にパルメイラス(別名:緑の豚)は大変です。
    クラシコでコリンチャンスに完敗し、その次の試合でも負けちゃいました。
    昨日らへんに就任したレオンが上手く立て直せるんでしょうかね?

  • フッチブログ says:

    Goalyさん
    カンペオナートはこれから週2試合期間に入りますからね、
    どこが首位に立つのか見当もつきませんね、ホント。
    いま補強しているチーム(サントス、クルゼイロとか)が盛り返す可能性もありますしね。
    レオンは実力の見せ所ですよ。
    パルメイラスのマルシーニョ、サンカエターノ時代から注目してます。

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