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PostHeaderIcon チェルシー×バルセロナ、久々の名ゲーム

3月前半、ロンドンで行われたヨーロッパ・チャンピオンズ・リーグベスト16第2戦(2ndレグ)「チェルシー×バルセロナ」は世界中を沸かせた好ゲームとなった。
日本でも地上波テレビで放映されたこともあって、多くのサッカー・ファンが堪能できた試合だった。結果はチェルシーが4×2でバルセロナに競り勝ち、準々決勝の切符を手にしたが、結果そのものよりも、その内容の素晴らしさ、観る者に与えた興奮で今季最高の試合といっても過言でないエンターティメントを与えてくれた。


サッカーを長年観ていると、ありきたりな決勝戦よりもこのようなトーナメント途中段階の名勝負の方をビデオ保存しておきたくなる。この試合に関しては、ロウナウジーニョのスーパープレーに加え、モウリーニョ率いるチェルシーとライカールト率いるバルサの異なった戦術の激突が見応え充分であった。
人格的にかなりクセのあるチェルシーのポルトガル人監督モウリーニョだが、ホームで絶対勝たなければならない試合で用いた戦術はさすが名将と呼ばれるのにふさわしい。バルサが攻撃のとき自陣(というよりもセンターライン付近に)に二人のCBだけを残して全員が上がるのをいいことに、チェルシーはボールを奪うや、右に張っているジョー・コールにロングパスを通し、高速カウンターをひたすら仕掛ける。開始18分までの瞬く間の3ゴールはすべてこの作戦で叩き出した。
カウンターと言っても、このレベルの試合で仕掛けるのは言うは易し、行うは難しの芸当である。イングランド・サッカー特有のガッツにモウリーニョがもたらした高い戦術理解度の成果である。
一方のバルサはスコアには反映されなかったが、完璧といえるほどボールを支配した。たぶん地元のチェルシー・ファンも自分たちのチームがここまでボールを回されるのを観たのは初めてだったのではないだろうか。
そしてロナウジーニョの“腰フェイント”ゴール。一連のプレーはもう世界中の人々が何度も繰り返し観ているはず。この種のフェイントはビーチ・サッカーで止まっているボールを(砂場ではボールはほとんど転がらない)あるコースへ蹴ろうとみせ、一本足のまま、違うコースへ蹴るといったパスの出し方をする。ジーコはピッチでよくそれをやった一人だ。
ロナウジーニョの凄いのはそれを4人の選手に囲まれながら、さらにカーブをかけてキーパーの反応できないゴール隅に決めたことだ。地上波の解説者は「これだけ選手が囲んでいたらキーパーもシュート・コースが読めませんよ」と、さもボールを囲んだディフェンダーたちが悪いかのようなことを言っていて、少し興醒めだったが、普通なら絶対蹴れませんよ。
最終結果については、チェルシーの4点目のゴールはバルサのGKバルデスに対するファウルだった。ただし、これは家でテレビのリプレイを観て出した結論である。審判にはそんな余裕は無い。つまり、試合の流れでは二試合のゴール数計算ではバルサが次のステージに進出してもおかしく無かった。が、ちょっとした運やジャッジといった小さな要素が大きく結果を左右してしまった。もう一度この二チームが同じ条件で対戦すれば、また別の結果になるに違いない。それも、このゲームがハイ・レベルだった証明だ。
フッチブログが崇拝するトスタン氏はこの試合について「世界中のサッカー・ファンが何度も繰り返しみて観るべき試合。サッカー関係者はこの試合についてセミナーを開くとよい。高い個人技、現代サッカーの異なる二つの最高峰の戦術、すべてがこの試合にある。考えるに、この二つのチーム戦術を状況に応じて交互に実行できるチームは世界最強のチームになれる。それができる唯一のチームは我らセレソンではないだろうか、いやセレソンにはぜひ挑戦してほしい。もしそうなれば歴史に残るセレソンになれるだろう」
結果はともあれ、先日のチェルシー×バルサのような試合は世界中のサッカー・ファンの気持ちをより熱くさせてれた。
チェルシー×バルサ、どっち応援した?
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754 Responses to “チェルシー×バルセロナ、久々の名ゲーム”

  • jumpin says:

    この試合はほんとにおもしろかったです。
    私はマドリーファンですが、バルサを応援しました。
    カウンターよりポゼッション重視のサッカーが好きなので、チェルシーみたいなチームが勝ち残っていくのはちょっと寂しさを感じます。
    ボールポゼッション重視のチームがチェルシーみたいなチームに勝つにはそれぞれの選手のレベルの高さが求められるんじゃないかと考えていて、
    おっしゃるようにそれはセレソンレベルってことになるなあと思ったのでした。

  • フッチブログ says:

    jumpinさんコメントありがとうございました。
    ボール・ポッセッションといえば、
    マケレレのいたころのレアルも凄かったと思いませんか?
    ほんの2年前のことです。
    そのマケレレが今はチェルシーにいるとは、皮肉というか、
    レアルにとっては教訓になりましたよね。

  • jumpin says:

    そうですね。その頃のレアルが一番好きですね。
    パス回しがすばらしかったです。
    いまだにその頃のビデオを見たりしてるんですよ。
    結局、マケレレが居なくなって気が付いたんでしょうね。高い授業料です。
    彼がいなくなってからがた落ちでした。チェルシーは右肩あがりで、皮肉ですよね。

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