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二つの相反するゲームが、それぞれ逆方向に進化したとでもいおうか、チャンピオンズ準決勝2ndLeg「バルサ10インテル・ミラノ」。

これほどの大舞台で、これほど一方的なゲーム支配が観れるとは…

 

華麗なパスサッカーとガチガチのカテナチオの対決。1stLegの結果さえ無ければ、バルサはあっさりとモウリーニョの「引き籠もりサッカー」を崩したことになるのだが、最後に笑ったのはモウリーニョ、偉そうに…

 

たしかに、あれほどハイレベルな守備は滅多にお目にかかれない。とくにカンビアッソのメッシの止め方がハンパ無くて、メッシの左足の動きを完全に読んでいたというか、試合の終わり頃は、もう一対一でメッシを留めていた。これは、W杯でアルヘンと戦うチームにはかなり参考になるのではないか。

 

守備的な話よりも、この試合で一番関心したのは、後半のグァルディオラの攻撃的な布陣だ。亀のように縮こまるインテルに対し、CB(ミリート)とボランチ(ブスケッツ)を下げて、攻撃の選手をなんと3人投下(マックスウェル、ジェフレンとボージャン)、さらに、なんとCBのピケをFWに上げるという、圧倒的に攻撃的な布陣。メッシ、ペドロと合わせて、ざっと6トップ!!!インテルの「鍵」をこじ開けたうえに、追加点を挙げるチャンスを幾度となく作り出した。グァルディオラこそ勝負師だ。

 

それに、もし2点目を入れられていたらインテルには反撃の手だてはなかった。モウリーニョさんに言わしてみれば「背水の陣で臨んだ。そんな私は名将です」といった素振りだか、まるで格下じゃん。数的不利とはいえ、インテルほどの選手層を持ちながら、最後はそんな案しか出ないほどバルサはスゴカとですか?

 

もともとインテルは試合開始から5バック気味(カンビアッソが最終ラインに入ったり出たり)、前半モッタの不可解な退場から、輪を掛けて守備的になった。むしろモッタの退場がカテナチオの言い訳になったというか、モウリーニョさんは内心喜んだことだろう。しかし、カテナチオの要がブラジルとアルヘンティーナの選手達で構成されるとは、時代も変わったものだ。

 

究極のパスサッカーが土壇場で「亀さん戦法」に負けるのを見るのは、これが始めてではないから、動じることも無い。日本では「勝てば官軍」といった言葉があるとおり、それまで話題がバルサ一色だったのが、みんないきなり、インテルを褒めはじめる。インテルが褒められるべきは、1stLegホームでの見事なプレスサッカー。とはいえ、このバルサはパスサッカーはもちろん、プレスは完璧、守備も鉄壁、また、引いてカウンターもできる(先日のレアル戦)、ほぼ理想的なチーム(しかし、イブラは空中戦できないんかい?)。なんといっても、バルサのギャンブラーぶりが好きだ。

 

つくづく思うのは、カテナチオの成否は5cm単位の誤差で決まるのじゃないか、と。パスの軌道がほんの5cm違っただけで、完璧な守備でも崩壊するよ。試合も終わりの頃に、ボージャンがゴールを決めたけど、その前のプレーのケイタのハンドで無効、あのジャッジには意義あり(ケイタの腕は体のシルエットの中に収まっていた)。あっし的にはカテナチオ大崩壊の瞬間だ。インテルは最後は7バック(どうぞ、数えてみください)みっともねえ…

 

 
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「運良く生き残っただけなのに、大威張り」

 

しかし、あと一月余りでワールドカップだというのに、こんなガチガチのカテナチオが称賛される世の中に逆戻りしちゃって…前回のイタリアの世知辛い優勝劇から、せっかくバルサがここ数年をかけて華麗なサッカーを復刻してきたのになあ。

 

ブラジルの一部の評論家も、カテナチオの復活にドゥンガが喜んだと皮肉っている始末だ。まあ、たしかにドゥンガはどちらかと言うとモウリーニョ寄りなのは認める。だからこそ、バルサに勝って欲しかった。つまり、あっしが一番心配しているのはそこ。

 

こんなことで、もしセレソンまでもが6バックを布いた日には、あっしは、もう二度と応援しないよ…

 

894 Responses to “6トップ × 6バック”

  • ジーコファン says:

    フッチさんこんにちは。
    バルサとインテル第1戦めが、すべてでした。
    モウリーニョらしいと言うか。。終わってる・・・
    サッカーは、華麗でなければ・・・・
    今のバルサ、私の理想のチームです。
    82セレソンのよう。。観ていて楽しい。

  • kenbo says:

    「バルサフットボールの終焉」だとかいう輩もいますね
    まさに勝てば官軍。
    勝てば つまらなくてもいいのか!?

  • スブッラ says:

    塩野七生女史によると「怒りは創作の源」だそうですが08年、09年とフッチさん不調かなと感じていたのですが、この文章、久しぶりにフッチさんの「純粋な怒り」を感じて圧倒されてしまいました。この調子でW杯本番もお願いします。

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