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♪チャラチャン…、とバッハの軽快なメロディに包まれて…前の話の続き。

 

南アフリカW杯グループG「ブラジル、ポルトガル、コートジボアールと北朝鮮」の展望について。

 

前回のエントリーでも説明したように、2006年ドイツW4位で、世界有数のトップチームであるポルトガルがシードを外れたため、もともとブラジルとアフリカの強豪という振り分けだったG組に入ってしまった。

 

ポルトガルはポッド4(その他の欧州代表)=デンマーク、フランス、ギリシャ、ポルトガル、セルビア、スロバキア、スロベニアおよびスイス。

 

このうち、過去のW杯の実績、つまりW杯本戦で結果を出した経験のあるチームが、順番にフランス、ポルトガルとデンマーク(日本代表と同組)の3チームだ。この3チームが入ったグループは、あくまでも下馬評だが、結果的に難しくなる。(その反対に、スロベニアとスロバキアがそれぞれいるイタリアとイングランドのグループが一見、楽だ)


 鍵はやはりコートジボアール

 

あっし的な見方では、グループGのポイントはなんといってもアフリカ大陸で開催されるワールドカップでぜったいに結果を残したいコートジボアール。ドログバ、カルー、ヤヤ・トゥーレ、コネ、エボエなど、欧州で活躍し、円熟期を迎えたメンバーを要する。それに、コートジボアールは前回のW杯でアルゼンチン、オランダとセルビアのいる、まさに「死のグループ」を経験している。

 

一月にはアフリカでアフリカ・ネーションズ・カップ(ANCまたはCAN)が行われるが、もちろんコートジボアールは優勝候補の一角、あっしも注目したい。アフリカで行われるW杯で何がいったい起きるのか?とにかく、大どんでん返しがありそうで恐い。アフリカ・サッカーは80年代からワールドサッカーの「第三の波」と言われ続けてきた。五輪代表やユース世代はすでに世界制覇を経験し、その期待を実証してみせた。残すはワールドカップのみ。

 

まあでも、こんな懸念は、当たり前というか、誰だって考えつくこと。実際、それぞれのチームがどのような可能性を感じて、戦略を立てて大会に臨むのかなどは、我々のような素人にはわからないこと、見えないことばかり。


そんなモヤモヤを少し吹き飛ばしてくれたのが、先のフェリポンのインタビュー。いまウズベキスタンのブニョドコルを指揮するフェリポンは、直近2回のW杯では、ブラジルとポルトガルの両代表を率いて、それぞれで結果を残しており、いま両チームについて、誰よりも知っている人物だ。

 

フェリポンが淡々と言うには、G組の力の綱引きでは「コートジボアールが弾かれる」のだそうだ。鬼軍曹はもちろん詳細を語るはずはないが、ブラジルとポルトガルのW杯の経験、情報力、組織力でコートジボアールを徹底分析し、封じ込める、いわゆる情報戦争で優位に立つことを臭わせた。ポルトガルの初戦はコートジボアール。ブラジルは二戦目でコートジボアール。この二つで、徹底的にコートジボアールに結果を出させない、潰す。平行して、北朝鮮にはしっかりと勝ち点を得ることができれば、最後の第3戦ブラジル×ポルトガルで互いの当確を決定づける。そのとき、コートジボアールは蚊帳の外。これが理想のシナリオ。

 

やっぱ、勝負師が言うことは現実味がある。つまり、コートジボアールは同じ相手と2試合することになる。それも、まさにトップレベルの2チームと。そこで、否応が無しに結果を出さなければならない。


ブラジルとポルトガルで結託して、汚い…?汚くてけっこう。それに、これはあくまでも現実性のある勝手なシナリオ。W杯のとき、ブラジルとポルトガルの国内の人々の感情と批判の高まりを知れば、たしかに、きれい事など言ってられない。グループリーグをなにがなんでも突破しなければ、選手達はお国に帰れない。コートジボアールには何の恨みもない、我が身が先だ。

 

コートジボアールの欠点はどこにある?それをブラジルとポルトガルが総力をあげて見つけ出し、徹底的に叩く。フェリポンの構図では、ブラジルとポルトガルが狩人、コートジボアールが獲物だ。ただ獲物の方に地の利がある狩り。もしも、このシナリオが崩れた場合、ポルトガルとブラジルの共食いが待っている。

 

前から知られていることだが、ヨーロッパで最もセレソンに遠慮が無く、なにがなんでも勝ちにくる代表チームがポルトガルだ。セレソンにとってクラシコとは、南米のアルヘン戦と、ヨーロッパでのポルトガル戦と言ってもいい。ポルトガル側には、宗主国と元植民地という感情も影響しているのかもしれない。

 

1966年イギリスW杯のグループリーグでも、ペレ率いるセレソンは、エウゼビオ率いるポルトガルに止められた。あのとき、ポルトガルのDFたちの激しすぎるプレーでペレが壊されたと、いまでも語り継がれている(あの後、ペレの肉体がさらに強化された)。セレソンがグループリーグで敗退したのは66年が最後。(でも、あの敗退のおかげで1970年の最強のセレソンが誕生した)

 

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そんなわけで、ブラジルとポルトガルも44年越しの因縁の再会なのである。だが、そんなポルトガルも、フェリポン監督の功績や、いまいるデコ、リエジソンそしてペペ(大怪我で間に合うか微妙らしい)といったブラジル出身の選手の活躍で、対ブラジル感情もソフトになっているようだ。

 

アフリカの地ではたして、何が起きるだろうか。

 

912 Responses to “G線上のアリア”

  • ジーコファン says:

    フッチさん、こんにちは。
    うーんなるほど、なるほど。
    するどいですよね。フェリポンの意見。
    そういう事を思いながら、グループG観れば又ちがった面白さがありますね。
    ポルトガルチームは、私はヨーロッパのブラジルだと思っているので、(フッチさんには、否定されるかな 笑)ブラジル・ポルトガル戦が、楽しみです。

  • スブッラ says:

    決勝トーナメント一回戦でスペインと対戦する可能性も考慮にいれて下さい。

  • スブッラ says:

    僕はカカとクリロナの本気を出した対決が見たいのです。

  • ポンタ says:

    初戦のコートジボアール対ポルトガルで、ポルトガルが負けるようなことがあると非常に怖いですね。
    2戦目でブラジルが順当にコートジボアールに勝利しても最後のポルトガル戦でポルトガルは死ぬ気でブラジルにぶつかってくる。下手すると3チームが2勝1敗で横並びになる可能性が…。
    いやっ、ネガティブな予想はやめましょう(笑)
    控えめにブラジルの2勝1分の1位通過で!

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