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「一見は百聞にしかず」とはよくいったもので、現在にいたるまでのセレソンの経緯や、ライバル国アルゼンチンとの死闘の歴史についてどんなに書こうとも、たった1つの試合を観たほうが、遙かによくわかる。
セレステさんのサイトで知ったのだが、今月一杯期間限定で、ブロードバンド番組局「Gyao」でコパ・アメリカの名勝負が無料で観れます。で、さっそく観ました。まず観たのはやはり1995年大会の準々決勝「ブラジル×アルゼンチン」。


コパ・アメリカはユーロカップと違って2年おきに開催される(といっても、いつのまにか4年隔になったりもする)。1995年の開催地はウルグァイ。「ブラジル×アルゼンチン」はいつも事実上の決勝戦と言われるものの、このカードは1995年7月17日、ウルグアイのリベラという町で行われ、グループリーグでアルゼンチンがなんとアメリカに0-3で破れるという波乱があったため、“南米の両雄対決”は早くも準々決勝で実現した。
ブラジル4-2-2-2のスタメン?
GK:タファレル(当時アトレチコ・ミネイロ→現在、引退)
右SB:ジョルジーニョ(当時鹿島アントラーズ、現アメリカRJ監督)
CB:アウダイール(ローマ、いま引退)
CB:アンドレ・クルス(ナポリ、昨季までゴイアス、いま?)
左SB:ロベカル(インテル、現レアル・マドリード)
ボランチ2:ドゥンガ(ジュビロ磐田、いま引退)、セーザル・サンパイオ(横浜フリューゲルス、引退)
右MF:ジュニーニョ・パウリスタ(当時サンパウロFC、いまパルメイラス)
左MF:レオナルド(鹿島アントラーズ、現ミラノ・フロント)
FW:エジムンド(パルメイラス、現パルメイラス)
左ウィング:サヴィオ(フラメンゴ、現サラゴサ)
監督:マリオ・ザガロ(画面に映らない)
アルゼンチン4-3-3(4-1-2-1-2)?
GK:クリスタンテ(プラテンセ)
右SB:サネッティ(インテル)
CB2:カセレス(サラゴサ)、ファブリ(ボカ)
左SB:チャモ(ラツィオ)
ボランチ:アストラーダ(リーベル)
MF:ボレリ(パナシナイコス)、シメオネ(アトレチコ・マドリード)
FW:オルテガ(リーベル)バルボ(ローマ)、バティストゥータ(フィオレンティーナ)
監督:ダニエル・パサレラ(トレンチ・コートが格好いい)
十年一日というが、あのころのセレソンを改めて見て、いまのメンツと何ら遜色はないことに気づく。それにしても、94年W杯後のチーム作り段階だというのに、両国ともすばらしいメンツが揃ったもんだ。セレソンに関していえば、94年W杯の成功のあと、何人かのメンツがセレソンを勇退し、新顔が台頭している。
左SBではブランコがセレソンを退き、ロベカルがレギュラーの座を主張しはじめていた(レオナルドも左SBで試されていた)。CBもアウダイールやロナウドンが残ったが、98年W杯までさらに幾通りも変っていく(最終的にはアウダイールとジューニオル・バイアーノい落ち着く)。
中盤でもボランチのマウロ・シウバの代わりにセーザル・サンパイオ、コンダクターにはジュニーニョ・パウリスタとレオナルドが試されていたが、年末までリバウドがザガロ監督の意中の人になる。
FWはロナウドがベンチ入りしていたというが、この年ブラジル選手権得点王に輝くトゥーリオ(ボタフォゴ、現)が全盛期でレギュラー格だった。この試合も後半から投入される。残念ながら、トゥーリオはこの大会をピークにセレソンから遠ざかっていく。
それに老練のV4FWのベベットやロマーリオはこの年は影を潜めていたが、やはり98年W杯前にきっちりピークを合わせてきた。
95年は日本でもJリーグが開幕してから2年目。Jリーグブームの真っ最中、大物外国人への投資が盛んに行われていた年だったんだなあ、とこの試合を観て改めて理解した。このときセレソンのスタメンには移籍したばかりとはいえ、4人のJリーガーがいた。さらにベンチにはロナウドン(当時清水エスパルス)、ジーニョ(横浜フリューゲルス)らが控えていた。
いま、セレソン・メンバーでJリーグとゆかりのある選手は残念ながらいないし、Jリーグに在籍している選手で歴代のセレソンに名を連ねた選手は片手で数えられるほどしかいない。これは、Jリーグブームが去ったと同時に、ヨーロッパ・サッカー市場がここ10年でいかに拡大したのかを裏付ける事実としても捉えられるのではないだろうか(日本国内でも)。
実際に数えてみたら、いまJリーグでセレソンに呼ばれた経験があるのは横浜マリノス入りしたばかりのFWマルケス、ほか浦和のワシントン、横浜マリノスのマグラォン、大分からガ大阪に移籍したマギノ・アウベスとサンフレッチェ広島ベットのちょうど5人だった(今季開幕までまだ増える可能性大だが)。このなかで、現パヘイラ体制で招集されたのはボランチのマグラォンのみ。
だからといって、いまクルゼイロで活躍中の元ガンバ大阪のアラウージョのケースなどを見る限り、決して「レベルの劣る」ブラジル人選手しか来ないとは思わない。けれど、セレソン候補になりたければ、トッププレーヤーたちは日本市場を選ばないのも事実だ。記憶では最後のブラジル代表Jリーガーは04年コパ・アメリカに出場した柏レイソルに在籍中のドゥドゥ・セアレンセだった気がする。
話を試合に戻すことにして、ここでネタバレをするわけにいかないけど、とにかく凄い内容だった。最初から最後まで、ピッチ内だけでなくピッチ外でもハプニング満載で「ちょっとトイレにも行けない」展開(ストリーミングだから、勝手にポーズ・ボタンを押せばいいのだが)、興味深い伏線だらけの推理小説のような。
なんといっても、中盤での死闘が“すんげえ”。方やジュニーニョ・パウリスタ(いまでもセレソンでやれる)、方やアリエル・オルテガといった「ドリブル・バカ」が二人。マークする選手の股をコンマ0.1秒のタイミングで抜く、次いで二人目、三人目をかわして、ようやく味方にパス。抜かれた選手は生涯の恥とばかりに相手の足をへし折りにいく。俗に言う「肉弾戦」。でこぼこのピッチ条件のなか、どの選手も体を張りながら、スバ抜けたテクニックを披露していく。
ブラジル側はほかにもロベカル、セーザル・サンパイオ、エジムンド、アンドレ・クルス(MFセンスのある上手いCBだったなあ)らが本領発揮。前エントリーで歳をくったと嘆いたロベカルも、このころはレギュラー固めに大奮闘。オルテガとサネッティが二人がかりで来ても、ブラジルの左サイドを突破できない。すごすぎるよ?!
アルゼンチン側はボレリ、シメオネの二人のMFが際だって上手い。シメオネはこの後にヒール役へと転向したのだろうか。そしてFWのバルボとバティストゥータの二人の決定力、一瞬で開いて受けて“どシュート!”迫力満点だ。いまの日本代表FWにこれができたらなあ。
個人的にはパサレラ監督は試合中にいくつかのミスをした。ミスというよりもブラジル代表を警戒しすぎた。ブラジル側では、“ラスト・オブ・ウィンガー”のサビオがぱっとしなかった気がする。このころフラメンゴにいた彼はもう神懸かりなウィングだったが、セレソンでは開花しなかった。その後レアルに移籍し万年補欠(スーパーサブともいう)、そしていまサラゴサでやっとこさトップ下でプレーするようになったサビオの若き日の姿だった。
いまのセレソンが歴代トップとか、勝手にぎゃあぎゃあ騒いでるあっしも、この試合観てずいぶん反省しとります。まこと。
どの時代もセレソンはたいてい素晴らしいもんだ。あのときゃあ、この人がキラキラ輝いていた。
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5 Responses to “ブラジル対アルゼンチン無料配信”

  • コパ・アメリカ アーカイブス 放映中!

    現在、無料インターネット放送局「GyAO」にて コパ アメリカ(南米サッカー協会が主催する、南米大陸王者を決める大会) の過去の試合が放映されています。 現…

  • pndwithb says:

     私の拙ブログから、ネタを引き出して頂き
    ありがとうございます。
    本当に、ブラジルの才能の宝庫ぶりは、昔も
    今も変わらないですね。欧州のクラブでも、
    普通に主力なのに、セレソンには声もかからない
    ブラジル人選手なんて山のようにいますので。
    ヘルタのマルセリーニョや、シャルケのリンコンetc
    いつの大会のワールドカップでも、ブラジルが優勝
    出来なかった事の方が「偶然」にすら 思えてきます。

  • フッチブログ says:

    pndwithbさん、
    こちらこそ有意義な情報をありがとうございました。
    コパ・アメリカの変遷を知ることはセレソンの変遷を知ることだなあ、と改めて理解できました。
    セレステ戦はまだ観てないのですが、フランチェスコリは大好きだったプレーヤーでした。これについては、また今度。

  • こんにちは。僕もアンドレ・クルスが好きでした。
    ボール取った後の預け方(蹴り方)が完全に中盤のテクニシャンといった感じで、自分は左効きでもないのにマネして失敗してました。彼はナポリにいましたよね?

  • フッチブログ says:

    こんにちはgreatさん、
    アンドレ・クルスの良さ、改めて認識しました。
    ブラジルでは「得点王センターバック」って異名でよばれてたのを思い出しました。
    なんと、本人のサイトを見つけました(女性向けの写真コーナーもあります):
    http://www.andrecruz.com.br/
    03年には我がインテルナショナルにいたのは知ってましたけど、04年シーズンにはゴイアス、そのあとはたぶん引退でしょうか。
    アウダイールもテクニシャンだし、凄いメンツですね。ちなみに、Gタスで01年コパ・アメリカやってます。こちらは絶不調セレソンで90年代のセレソンと比べてみても、面白いですよ。

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