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セレソンでこんなことが起きれば、間違いなくチームは空中分解するだろう。
エゲレスのマスコミはおっかねえ、アストンヴィラを買収するアラブの大富豪を装って、とある大衆ペーパー「News Of the World」がイングランド代表エリクソン監督と偽の交渉に成功した。
巨万の金をちらつかせられたエリクソン代表は喋った、喋った。こんな本音トークを聞いたのははじめてだ。エゲレスのマスコミの罠は怖ろしすぎる。ゾクゾクッ!
でも、冷静に考えれば、この記事は我々のような一般サポーターが知ることのできない情報の宝庫ではないか。クラブ・オーナーと監督の会話だ。いまのサッカー・ビジネスを読み解く「ロゼッタ・スートン」と言えば大袈裟か。


先週末にイギリスのマスコミで超話題になったが、なぜか日本やスペインやブラジルのマスコミは小さく取り扱っている。
ちなみに、スポーツナビの記事はこれ:
http://sportsnavi.yahoo.co.jp/soccer/eusoccer/headlines/20060116-00000106-jij-spo.html
イギリスはちょっとあっしの専門外で、向うの熱の入り方がいまいちつかめない。それにプレミアリーグのクラブの力関係とかも、よく知らない。それでも、自分の理解できる範囲で考えても今回のスキャンダルは衝撃的だった。
ひっかけを企画した大衆タブロイド「News Of The World」の衝撃のリポートは下:
http://www.newsoftheworld.co.uk/story_pages/news/news1.shtml
なんと、偽の会談は録画・録音され、そのストリーミング・ファイルまでリンクされている。
内容については、会話のニュアンス(“含み”ってやつ)がわからなくて悔しいが、事実だけを羅列すればこう:
エリクソンが言うには、3年契約の年間500万ユーロ(10億円ほど?)でW杯後、アストンビラの監督になってもいい。いまFA協会からもらっているのは300万ポンド(6億円)、税別だと明かしてしまった。ただ、エリクソンと協会の契約は2008年まである。
ほかにも、タイトル獲得の際、選手に払うべき賞金の額これぐらい、監督の分は「それ以上あるべき」と言及した。
監督になった暁には、「ベッカムを呼ぶのが最善だ。彼が来れば、たったの1週間で、これまでの10年間で売った数よりも多くユニフォームを捌けるだろう」
ベッカムに関する発言が圧倒的に多い。「ベッカムを獲得するなら、今がチャンスだ。前から彼はレアルで不満だと私に言っている。スペインでは3シーズン目だが、何のタイトルも獲得できないし、チーム事情も一向に改善されないと嘆いていた。私なら、彼に電話できるよ」
イングランドでは、クラブ側を通さず選手と直接移籍話をするのは違反とされている。
「あなた達はベッカムがもたらす経済効果を知るべきだ。この前レアルの首脳陣と話したときも、想像を遙かに超える効果だと言っていた」
「イングランド代表が遠征に行くとき、ベッカムが居れば何千人ものファンがホテルにむらがる、居なければ平和なもんさ。70歳のおばあちゃんから、17歳の小娘までみんなベッカム・ファンだ。彼は現役を引退してもセレブであり続ける」
記事では、どうすればベッカムをレアルから引っこ抜けるかを延々と話している。
マイケル・オーウェンについては、「ニューカッスルで満足か、と聞いたら、“イイヤ、でもレアルよりも年俸がいい”と言っていた。彼は金のためだけに移籍した。彼はベッカムにことごとくCM契約を持って行かれて不満でいる」
チェルシーが右SBライト・フィリップス(あっしは良い選手だと思う)を獲得したことについて「あのレベルの選手に3千万ユーロは多すぎる」
リオ・ファーディナンドについても「たまに気の抜けたプレーをする(Lazy)」
ジェラールについては、なぜ一部の地元ファンから嫌われているのかという部分が理解できなかった。
ライアン・ギグスに関しては「ウェールズ代表では何の大会にも参加できないから、イングランド代表入りしたかった、と私に吐露したよ」と言っちゃった。ウェールズの人々は何て反応するだろう。
これぞ本音トーク。すべて言っちゃった、ぶっちゃけちゃった。取り返しがつかない。
記事が明るみになった後の週明け、FA協会はエリクソン監督の更迭はないと公表した。監督自身も、記事で触れた選手たちに直接電話をして説明(謝罪)したと言っていたが、信頼関係はガタ落ちだろう。「そんな目で俺は見られてたんだ」と選手たちは思うはずだ。会社の上司が、あなたについてこんな話しをしたら、どう思う?
あまりにもの醜聞に世界中のメディアも扱いをためらっているのだろう。まあ、ここはあっし個人のブログだから、何のしがらみもない。
前からイギリスのサッカー・メディアの一部の低俗さには興味があった。たとえば、マンUのカルロス・ケイロスのインタビューを読んだことがあったが、「今日は何色のパンツをはいて家を出ましたか?」なんて聞いていた。ありえない、想像させんなチキショー。
しかし、このトークのおかげで色んな疑念が晴れたのも事実だ。いかにして、アイドル選手を中心に捉えてチームを作るべきか、代表監督は選りすぐりの選手たちと裏交渉ができること。エリクソンが記事で「くれぐれも隠密に(low-key)」と言っているところがシュール。
以前、フェリポンの代表監督としての影響力について02年W杯後のセレソン選手たちの移籍状況と関連づけたが、現実的なアプローチだったと改めて認識できた。
今回たまたま、ひっかかったのがイングランド代表監督だったが、他の代表監督であっても何の驚きはない。プロの世界を理解するのに、またひとつ勉強になった。

1,085 Responses to “UK醜聞トラップ”

  • jumpin says:

    フッチさんこんばんわ。
    相変わらずイングランドメディアはえげつないですねえ。
    だけどエリクソンさんって見た目はよさ気ですが
    この話がでてやっぱりなと思いました。
    なんつーかこの頃はベッカムが哀れでなりません。
    彼は魂を売った人みたい。
    >想像させんなチキショー。
    ワロタ!

  • フッチブログ says:

    jumpinさん、こんちは。
    醜聞のリンク先、どうやら追加ネタに変ってます。監督達が選手移籍のさい、リベートを貰うことについてエリクソンのコメント。
    凄いッス、イギリスのマスコミ、風通しが良すぎ。
    「サッカー、タブロイド、ポップ・スター」発祥の地だもんね
    。そこから出現した前例なきサッカー・セレブがベッカムってとこですか。打ち出の小槌の現代版。まあ、相応の才能あっての話ですが。

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