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PostHeaderIcon コリンチャンス2005

2006年に突入する前に、昨年のブラジル選手権覇者について記録しないわけにはいかない。
ピッチ外で起きた審判不正問題で興醒めしてしまった2005年ブラジル選手権だったが、今年のコリンチャンスは、これからのブラジルサッカーを牽引していく若くて素晴らしいチームであることに違いはない。
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クラブはまず2004年後半から開始した、イラン人キア・ジョオラビキアン率いる投資ファンドMSIとの“怪しい”提携で、何かと話題になった。
だが、コリンチャンスはたった1年であっという間にトップ・チームとなった。いや、なるべくしてなった。最初は疑問視されたMSIからの投資も、下部組織から台頭してきた素晴らしい才能たちが力を発揮してくれたおかげで、05年の最後の3ヶ月でチームは見事に完成した。
つまり、大金を抱えたスポンサーと、空前の才能ある若手集団の出現による二つの好条件が、コリンチャンスの躍進を可能にした。もともとコリンチャンスはあまり若手を輩出しないクラブとして知られていた。ちなみに今年のコリンチャンスの平均年齢は21.5歳だそうだ。
MSIファンドはおよそ6千万ドル(70億円)を費やして、FWカルロス・テベス(20億円)、MFカルロス・アウベルト(元ポルト)、MFホージェル(元ベンフィカ)、FWニウマール(元リヨン)、左SBグスターボ・ネリ(元ブレーメン、セレソン)、MFマスケラーノ(元リーベル)、CBセバスチアン(元ニューエルズ)、MFマルセロ・マトス、MF/CBウェスクレイ、CBマリーニョ等を獲得した。
彼等に加え、コリンチャンス下部組織(ユース用トレーニング場「イタケーラCT組」と呼ばれる)からFWジョー、FWボボ、MFホジネイ、MFブルーノ・オタビオ、右SBコエーリョ、CBベトンなどが飛び入りで活躍した。
シーズンを通して波のあったコリンチャンスだが、ここ一番の爆発力は凄まじかった。とくに、カルロス・アウベルトの調子が復活した後半からは、相手エリアに5,6人で殴りかかるような攻撃力が見る側を興奮させた。
コリンチャンスはサンパウロ州では、もっとも大衆のクラブであり、昔から華麗なプレースタイルよりも、ガッツあるプレーが好まれた。そこに完全にフィットしたのがアルゼンチン最大の大衆クラブ、ボカ・ジュニアーズ(フーニオルズ)から来たテベスだった。
ブラジルでは「犯罪者にもっとも支持されるチーム」などと揶揄されるが、みてください、このサポーターの熱気。推定3千万人といわれるサポーター数。まるで、ひとつの国家、半端じゃありません。
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今年度ブラジル選手権最優秀選手に選ばれたテベス。彼こそが、チームに必要だった「ガッツ」の象徴となった。ボールを持てば、何が何でも前に行く。ガツガツと当たり、どんなに削られようとも、相手DFを吹っ飛ばしてでも突破していく「泥臭い」プレースタイルがサポーターたちの共感を得た。
テベスは今季31ゴールを上げたが、ゴールするたびに滑稽なタンゴを踊る。これもバカバカしくて面白かった。まだ21歳のテベスは、もうれっきとしたブラジル・サッカーのアイドルだ。
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テベスの相棒として、東京ヴェルディに移籍する前のジウやジョー、ボボが頑張ったが、9月からリヨンから移籍してきたニウマールがジャスト・フィットした。もはやセレソンに呼ばれなくなった21歳のニウマールだが、彼がボールを持ったときの足の速さは驚異だ。
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ニウマールが開いてボールを受けては突進、テベスが真ん中でガンガン攻め立てる。単純だが、凄まじい破壊力のツートップが誕生した。
テベス・ニウマールの後方からは、これまた21歳でラッパーのような風貌のカルロス・アウベルトがボールを運んでやってくる。この男はヒールで生意気だ。ジャウミーニャやエジムンドの系譜を受け継いでいる。技術的にはもの凄いが、まさに忍耐力に欠ける。
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04年のトヨタ・カップではFCポルトでジエゴと一緒に来日した。ブラジル・サッカーのヒール役部門の将来を担う二人を同時に抱えたポルトは案の定、あのあと空中分解したっけな。
同じく、パサー役の華麗なるホージェル(27歳)が…といいたいところだが、今年の後半はホジネイという22歳の新星が出現した。こいつの中盤での動きは凄まじかった。攻撃は◎、守備も◎。ひょっとして、ブラジルの将来を担う新型アルマドールの出現かもしれない。
「ホジネイ (Rosinei)」この名前を覚えておくといいかもしれない。
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コリンチャンスは4-4-2から、試合の流れでいとも簡単に3-5-2に変える。この変化が今のブラジルサッカーの主流だとも言える。それを可能にするのが、CBもできるボランチの二人、マルセロ・マトス(21歳)とウェスクレイ(21歳)の二人(エジミウソンはうかうかしてられない)。他にもブルーノ・オタビオ(20歳)は怪我で殆ど参加できなかったマスケラーノ(21歳)の穴を良く埋めた。
こうして見ると、コリンチャンスはまるでU21のチームのようだ。02年のサントスよりも若いはず。最年長はCBのマリーニョ(29歳)、次いでグスターボ・ネリ(28歳)。ネリは恐らく今年のW杯にロベカルのサブとして参加してるだろう。GKファビオ・コスタ(28歳)は再三MSIのキアといがみ合った結果、サントスに逆戻り。正GKの座をぽっかり空けてしまった。
最終節で優勝を決めたコリンシャンス
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06年に向けてのコリンチャンスはもう始動している。まずFWジョーがCSKAモスクワに移籍。リバウド2世と期待される長身の彼のプレーが見れなくなるのが残念だ。彼の代わりに、今月中にコリンチャンスは大型FWを獲得するだろう。噂にあがっているのが、ロマーリオ、ルイス・ファビアーノなどだ。
他の若きメンバーの多くも海外からオファーを受けており、テベスはW杯後に移籍のオファーを数多く(もちろんアルヘン・インテルからも)受けているようだ。だが、ここはMSIの経済力からして、チームはそう簡単に切り売りされそうもない。むしろ、強化されるはずだ。
日本でも、今季は少なくともリベルタドーレス杯の放映でコリンチャンスは観れる。優勝を経験し、さらに進化するだろうコリンチャンスを観ること、とくにコリンチャンスのホームゲームは素晴らしい展開になるだろう。ヨーロッパの守備的なサッカーに辟易している人には、新鮮な体験になることうけあい。次代のセレソンを担う逸材もウジャウジャいるよー。
とにかく、どこでもいいから、今年のブラジル選手権の放映権を獲得してくれなかなー…
2005年、4度目の全国制覇を成し遂げたコリンチャンス
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上段、左から(トレーナー・シャツのスタッフ陣は除く):GK/Fabio Costa, FW/Bobo, MF/Wescley, SB/Coelho, GK/Marcelo, FW/Carlitos Tevez, CB/Marinho, MF/Wendel, MF/Bruno Octavio.
下段、左から:SB/Edson, MF/Hugo, MF/Roger,MF/Fabricio, MF/Rosinei, MF/Carlos Alberto, FW/Nilmar, MF/M.Mattos, FW/Jo e SB/Gustavo Nery.
監督はアントニオ・ロペス

1,221 Responses to “コリンチャンス2005”

  • デヴィド says:

    ファビオ・コスタはサントスに行くみたいですね?
    誰が後釜になるのかな。
    個人的にボボとホジネイをリベルタドーレスでたくさん観たいなぁなんて思ってます。
    今年もブラジル全国選手権を放送してくれる所が無ければTVグローボと契約しようかな・・・・。

  • フッチブログ says:

    デヴィドさん、
    ファビオ・コスタはもうサントスに移籍しました。
    コリンチャンスはベテランGKを探しています。
    ボボとホジネイですか、いいですね。あっしはジョーが好きだったんだけど。
    来年もこのベースで行ってほしいもんですね。どうなるか、わからないけど。
    ガチンコ度でいえば、今月からはじまるサンパウロ州選手権が面白いかも。サンパウロFC、コリンチャンス、サントス、パルメイラス、サント・アンドレ、どれも面白いカードが組めそう。

  • inoran says:

    明けましておめでとうございます!
    今年もよろしくお願いします。
    日本でももっとブラジル国内のサッカー見れると本当に嬉しいです。

  • フッチブログ says:

    inoranさん、
    明けましておめでとうございます。
    こちらこそ、今年もよろしくお願いします
    互いに応援する国は違えど、頑張って盛り上げていきましょう!

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