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PostHeaderIcon ルーシャと心中だ

もはやブラジル・サッカーと抜き差しならぬ関係となってしまった世界のレアルが3連敗と喘ぐ。もう河岸の火事ではない。
フッチブログは今季のヨーロッパではヴァンデルレイ・ルシェンブルゴが監督を務めるかぎりレアルをサポートする。その姿勢は変えるつもりはない。自分はサッカー評論家でもないし、レアル(または、どれかチーム)をけなして何か得する立場にいないから、サポーターとしての信念を貫いてみようと思う。


でも、エスパニョールとの試合は気になった。エスパニョールのなりふり構わない布陣5-4-1ときには5-5-0には驚いた。ただ、そこから展開したカウンターアタックは驚異だったとも付け加えておこう、イバン・デ・ラ・ペーニャ、この人は決定的だった。
WOWOWの解説者は、パブロ・ガルシアをワンボランチにしてスペースが空きすぎ、といっていたが、カウンターを喰らっているんだから、しょうがない。ホームのチームがみっともない亀サン戦法で来るんだから、ホントにしょうがない。プロの解説者殿に言って欲しかった「この5バック気味悪いですねえ、ホーム・チームのくせに」。せめて将来サッカー選手を夢見ている子供たちのためにも。レアルはチームとしてチグハグなのに勇敢に前に行った、1ゴールでも上げれば流れは変ると選手たちは信じて。瑠偉ラモスの言う「気持ち」は少なくとも統一されていた。
もちろんチームの敗北は監督の責任、弁明の余地はない。ルーシャはこれ以上落とすと残念だがアウトになる。フッチブログの夢もついえる。
しかしこの5バックのエスパニョール。セレソンの相手がこの5-4-1とやらで来ると想定してみよう。相手はボールを奪えばおもむろにデラ・ペーニャに当てて効率よくカウンターに転じる。今のセレソンもウィンガーがいないし、中に集まる傾向も同じ。
名目上ダブル・ボランチだが、カウンター時にはエメルソン一人が残る(ダブルだろうが、トリプルだろうが、カウンターの時は選手は揃わないもの、だから古くから最高の戦術と言われる、ねえモウリーニョさん)。つまりここはディフェンスの連係と個人能力の見せ所である。想像の世界では、カウンターのときエメルソンがデラ・ペーニャに抜かれるものの僅かに攻撃のスピードを遅らす、ここにホッキ・ジューニオルがドレッドヘアを揺らして大げさにスラインディングでカバーに入る光景が浮かぶ。潰すなら徹底的に潰す。
セレソンではセンターバックは引いたり引かなかったり、臨機応変だ。エルゲラとラモスのように必ずラインで並ぼうとしない、ラインで並ぼうとするから前にスペースができる(並ぶメリットももちろんあるが)。それでも、ホッキまで抜かれたら、デラ・ペーニャに拍手を送ればいい。サッカーとはそういうゲーム。
点を取られても、取り返す気力が充実しているかどうか、サポーターはそこに注目すべき。しかし5バックは厳しい。はっきり言ってサイド攻撃は効かない。サイドは突破しても、突破してもウジャウジャ相手ディフェンダーがカバーに来る。中に放り込んでも、ニアだろうがファーだろうが基本的に数的不利を強いられる。ドリブルも出来ない。エリア外からシュートの嵐を撃っていくのが手だが、カメニというジャック・ソンゴオの弟分は固いキーパーだ。
パヘイラならどうするだろうか、一つはエスパニョールのスタート時にプレッシングをかけさすだろう(アルゼンチン・ビエルサ・モード)、このとき5バックが裏目に出る。もう一つは、あえてエスパニョールにボールを持たせて自陣に引く、頃合いを見てボールを奪いベッカムの一発で裏をとり、ラウール、ロナウド、ホビーニョらを一斉に走らせる(まあ、これで逆にやられたんだけど)。なーんて、こんな私のような素人の思いつきがレアルに出来ない訳がない、できないのは今はチームとして完成していないからではないだろうか。理屈じゃない。
エスパニョールには戦術で負けたのではない、チームの完成度で負けた、フッチブログはそう思いたい。じゃあレアルはいつ完成するのか?そんなことは誰も知らない。
「最も険しい道こそ、最良の道」
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949 Responses to “ルーシャと心中だ”

  • inoran says:

    セレソンの2バックを見習って欲しいです(笑)
    監督は色々噂されてますね。
    レアルファン、ベッカムファンには辛い日々が続いています。
    ジダンがいないから、という言い訳だけは避けたいですから。。。

  • フッチブログ says:

    inoranさん、
    奇妙にも今回は私は監督を応援するという立場になってしまいましたからね、ハケ口が見つからなくて困ってます。
    ジダンはそりゃあ不可欠ですが、怪我で出れない選手のことを取り上げてもねえ。ベッカムも相変わらず素晴らしい出来ですよ。セルヒオ・ラモスもクレバーだから必ずフィットする。特定の選手が悪いとは思わない。
    とにかく次は何でもいいから勝って欲しい。いまはプレー内容よりも結果です。

  • inoran says:

    朝早くの返信、ありがとうございます。
    巷ではベッカムの戦犯扱いが多いので、感動しています。
    ただ、ベッカム自身がジダンのようなプレーヤーとセットになることで、素晴らしい出来になるタイプなので、今の批判があるのかなと思っています。
    確かに誰が悪い、とかそういう問題ではないと思います。
    1度でいいから、勝てば一気に流れが変わりそうな状況であると思ってるので、是非何が何でも勝って欲しいです!

  • jumpin says:

    残念ですね・・・
    昔のことを言ってもしょうがないのですが、ひとつ言わせてください。
    そういう引いた相手をパスでゆさぶり、崩していましたからねえ・・・。それはほんとに興奮しました。

  • フッチブログ says:

    inoranさん、
    朝早くに書きました、確かに、笑…
    戦犯扱いされる選手を愛する、それこそ醍醐味ですよ。
    ついでに、イバン・デラ・ペーニャ、リーガの「いぶし銀」と呼んであげましょう。

  • フッチブログ says:

    jumpinさん、
    あなたの言いたいことは私なりに分かってますよ、
    だから私はヨーロッパではイタリア、イギリス、ドイツなどよりも、リーガ・ファンなんですから。
    でも、そんな世界中の人々の理想主義がチームに必要以上なプレッシャーを与えているとも思いませんか?少なくとも、経験のないプレーヤーの多い今の開幕時には。
    それに私は昨季のチェルシー×バルセロナ戦でポゼッション・サッカーは(いまのところ)死んだと思ってます。どこかのチームが進化形を出してこなければ(モウリーニョの高笑いが聞こえる)。
    芸術品を作るには時間がかかりますよ、完成する保証もないし。

  • jumpin says:

    フッチさん
    >でも、そんな世界中の人々の理想主義がチームに必要以上なプレッシャーを与えているとも思いませんか?少なくとも、経験のないプレーヤーの多い今の開幕時には。
    それはその通りですよね。
    私にはなんとも言えません。
    しかしそれに答えてくれるクラブだったからというのは気持ちのなかにありますよ。
    フッチさん、以前何故いろんな選手がマドリーに行きたがるのかという疑問を書かれたことがありますよね。
    その答えものひとつもそこにあると私は思うんですよね。
    そして誤解して欲しくないのですが
    私は今の状態のそもそもの原因は以前から言っているようにフロントにあると思っています。
    そういう意味でこういう結果になって残念だと言いたいのですよ。

  • フッチブログ says:

    そうですね、jumpinさん。
    フロントは自らの落ち度で「夢の機械」を解体してしまいましたからね。
    いずれにしても、このフロントが落ちる前にルーシャの首が先なんでしょうな。

  • kobo_natsu says:

    私は采配についてとやかく言うのは好きではないのですが(監督をやったことがあるわけではないので…)、今朝のビルバオ戦のミスターの采配は良かったのではないかと思いました。
    ただ、替えた選手がグラベセンだったことには大いに不満でしたけど(苦笑)。
    その辺り、お聞きしたいです。
    あの修正方法こそが、ブラジルで成功を収めてきたミスターの真髄なのかなぁとおもいました。
    フロントは、もうすこしミスターに自由を与えてあげて欲しいですね。

  • フッチブログ says:

    koboさん、今日の試合観ましたよ、めずらしく起きて。
    グラベセンの交代に関しては、サポートされているkoboさんは納得いかなかったはずです、それもそのおかげでチームが勝てた、といった騒ぎ方をされては。
    koboさんに敬意を表して、私の率直な意見を言いますね。この話は技術的な面と「マスコミ的」な面が絡んでると思うんです。
    技術的(といっても問題があるとかじゃなくて)な話ではグラベセンは守備面では文句なし、でも攻撃的でないこと、よく言う2列目から飛び出してゴールを狙う、といったタイプじゃない。パブロ・ガルシアも違うし。だから、二人が同時スタメンになると「創れない」と凄い批判を受ける。
    で、人々はグティ・グティと言い始める(かくいう私も)。中盤の人間は創造的でないといけない、ボランチにもその要素が求められる。ここがレアルとブラジル・サッカーが共通している点だと思います。(じゃ、なぜカンビアッソを放出したのでしょうかねー)
    今日のasに凄く強烈な記事がありました「Soldadito Espanol」というトップからリンク貼られてます(知ってるかもしれませんが)、とくにグラベセンを酷評していてグティを称賛し、さらに「結局、困難なときレアルを救ってくれるのはスペイン人小兵=Soldadito Espanol(カンテラーノなら、なお良し)」といった論調です。極論です。ディ・ステファノ、プシュカスやウーゴ・サンチェスに言ってみろ、と言いたくなる。
    私がいつも言うレアルの巨大なプレッシャーがコレですヨ。マスコミが監督の存在を無視して強烈なチャージをかける、特定の選手を血祭りに上げる(一時はベッカムやラウールだった)。一種の病気でしょう。まあルーシャへの批判は彼の傲慢な態度も原因なんですがね。流れが悪いときはこんなモンすよ。
    このグティ論争、昨年もありました。グティだって波があるから(ジダンと一緒だと被っちゃう)、試合によってはグラベセンでいいと思います。今日の交代のように、どうしても流れを変えるために有効に使えばいいんじゃないですか。
    今日のこの交代、ルーシャは自分の首をかけてたのはご存じでしょう。選手もみんな分かっていた。チームが一丸になれば、レギュラーだろうがベンチだろうが関係ない。チームが勝つのなら、ロナウド、バチスタ、ホビーニョが全員ベンチに行ってもあっしは構いません。
    凄まじいプレッシャーの下、チームを一丸にまとめられたルーシャの手腕でしょう(なにがスペイン人小兵だ!!)。「俺たちがなんとかしないと、監督の首が飛んじゃう!」と選手たちに思ってもらえるか、もらえないか。これは大きな違いじゃないでしょうか。その点、ラウールの奮起は象徴的でしたネ。
    ルーシャは戦術家というよりもモチベーター(企業セミナーなんかに向いてそう)。彼がレアルに来てから、チームは一度も試合を放棄したことはない(先のリヨン戦も)、だからあっしは彼をサポートするんです。まあ一寸先は闇ですが。

  • inoran says:

    コメントのやりとり、非常に興味深かったです。
    カンビアッソについては同意見です。(もう蒸し返してもあれなんですが…)
    レアルは↑のような切り替えが出来るチームだと思います。
    安定させたい時にはグラベセン、P・ガルシアだろうし、
    リスクを冒してでも行かなければならない時は、どちらかを下げてのグティやバティスタ、ベッカムなんだと思います。
    確かに、この試合はグラベセンは無難にプレーしてたので、
    交代は僕も不思議に思ったんですが、
    悪いから変えるのではなく、悪くなくても変える、それで流れも変える、
    というのは非常に勇気がある決断だと思います。
    ルシェはそのあたりが素晴らしいんでしょうね。
    koboさん、jumpinさん、フッチさんの意見はいつも参考になります。

  • フッチブログ says:

    inoranさん。
    そうそう、本来、流れさえよければ、
    優雅に「今日はグティの出番ですかあ、グラベセンはもうお役ご免ですねえ、チャンピオンズのこともありますし」とか言えたのに、「wowowの取説者」が(スイマセン、この人しかハケ口がないんです)。
    ハケ・グティ…なんて、ブルルッ!!

  • kobo_natsu says:

    わかりやすいご解説、ありがとうございました!
    >だから、二人が同時スタメンになると「創れない」
    うぅ…イタイところを突かれました…。そうなんです。
    トミーのパスというのは創造的ではないのですよね。
    おそらくターゲット(ほとんどの場合ジズー)がいれば正確にパスを出せるのですが、それは機械的なのですよね。
    だから、中盤の底にレジスタを置くスペインスタイルだと、兄貴とトミーは二者択一となるのは理解できます。
    でも、フッチさんがトミーの有用性を解いてくださったことは、ファンとして本当に嬉しかったです。
    ありがとうございます!
    >「俺たちがなんとかしないと、監督の首が飛んじゃう!」と選手たちに思ってもらえるか、もらえないか。これは大きな違いじゃないでしょうか。
    そうですよね。今日の試合の後半は、前半とのあまりのモチベーションの違いに驚きました。
    最近なってから、ミスターの偉大さに気づかされることが多くなりました(遅すぎですね…)。
    これからも、興味深い記事を楽しみにしています。

  • フッチブロウグ says:

    koboさん、あっしのような「にわかマドリディスタ」の意見を聞いてくださって、こちらこそ感謝です。あくまでも、個人的な意見だし。
    スペインのマスコミの「グティが良いから、じゃあグラベセンが悪い」、という発想は、ゆくゆくは調子を落としたブラジル人選手にも向けられますからね(いまバルサのエジミウソンがやばい)、気持ちはわかりますよ。
    結局、サッカーは水モンで、ルーシャの良さをいくら説いても、これから結果が伴わなければオジャンですからね。こればっかりは、しょうがないです。

  • carles says:

    フッチさん
    ご無沙汰しております。
    所謂ヨーロッパのビッグクラブってプレッシャーがとてつもなく凄いですよね。ルシャも信念を曲げず(というかそれが彼の特徴ですよね?)頑張って欲しいです。エジミウソンも頑張っていますが、彼の場合もチーム全体の調子が上がらない状況でもがいているだけのような気がします。このまま使い続けるのが良いのか、一度間を置いた方がいいのか?彼が周囲からのプレッシャーに強ければ問題ないですが?どうでしょうか?
    少年時代の酒びたりの生活から回復できた彼なので大丈夫だと思いますが。
    デラペーニャ、ロナウドとの驚異的なホットラインも今は昔と思ってましたが、まったく錆付いていないですね。まだロナウドがいたときにリバウドが入団するかもしれないと報道されたときは、これからいったい何年優勝できるんだろうとワクワクしたものです。結局は実現できませんでしたね?
    はなし、ぜ?んぜん変わってしまいますが大分のシャムスカ監督ってサンカエターノの監督だったんですね(Footネタです)!彼の話もいずれお聞かせください

  • フッチブログ says:

    carlesさん、どうも。
    エジミウソンは新型ボランチとしてW杯後は凄く期待されてたのに、CBもできて、中盤底の配給役、ヘタすりゃあFWらしき動きまで。マルケスにお株を奪われちゃった感じですね。正直な話、希望していたボランチでなくCBで使われていること自体、もうかなり厳しいのではないかと思います。バルサに関してはベレッチもそうです(ダニエウが来ればなおさら)。こればっかりは、しょうがないですね。
    でかいクラブはそんなもんですよね。選手は全然衰えていないのに“新型”に交換。デラ・ペーニャにやられた分には、全然悔しくなかったです。
    シャムスカのことは書こうと思ってます。ブラジルで一番若手の才能ですから、てっきり今のコリンチャンスに就任すると思ってました。この前、たまたまテレビのチャンネル回していたら、「なんか似てるな、この監督」と思いつつ…
    「えっ!?いつ日本に来たの?」と仰天した始末でした。
    非常に論理的で冷静、上のレアルのケースで説明したように、カウンターとポゼッションを交互に指示することで有名です。新世代の監督のなかでは最も期待されていて、大分ファンには朗報だと思いますよ。(まあレオン監督のこともありますから、あまりヨイショはしませんが)。
    追記:といいつつ、戦績みたら大分いきなり2連勝じゃありませんか!ちょっと応援しちゃおっかな…

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