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PostHeaderIcon 人種問題、サポーターの暴動?はけ口としてのサッカー、その2

ヨーロッパでも南米でも人種差別発言は昔からサッカーのピッチであった、関係者はそれを見て見ぬふりをしていた、少なくともいままでは。
4月13日、ブラジル・サンパウロではリベルタドーレス杯グループ・ステージ、サンパウロFCとアルゼンチンのキルメスの試合中にキルメスのDFデサバトがサンパウロFWグラフィッチに対し「このクロンボのチンパンジーめ、てめえのバナナを××の穴につっこめ!」(フリー訳)と罵った。グラフィッチは即座にデサバトの頭を掴んで押しのけ、このため一発退場させられる。試合はサンパウロが3対1で勝利。


控え室に戻るとグラフィッチは人種差別発言(この法律がブラジルにはある)でデサバトを訴える。試合中もテレビでデサバトの発言シーンが何度も繰り返され、試合終了直後、デサバトはピッチ脇で警察に現行犯逮捕される。デサバトはサンパウロの警察署で2晩拘留されたのち、クラブが1万レアル(40万円相当)の釈放金を払って仮釈放され、アルゼンチンへ帰国できた。しかし今後も訴訟中はブラジルの裁判所の召喚に毎度応じなければならない。この件に関して南米サッカー連盟CONMEBOLはデサバト選手に対して今季リベルタドーレス杯すべての試合への出場を禁じた。
この一連の騒動に対して、アルゼンチン側は「ブラジル人とアルゼンチン人選手がピッチ上で罵り合うのは昔からのことだ、なぜ今さら騒ぎ立てるのか?ブラジルの人々は何を企んでいるのか?」と、まったく問題点をすり替えてしまっている(どこかのアジアの国の対日騒動のように)
差別問題というのは、差別する方は大して自覚できないものだ。ましてやアルゼンチンのような白人社会では「我々白人と有色人種(この言葉自体が人種差別だ)」という識別がはっきりしすぎて、違う人種に対する許容度は低い。「アルゼンチンの選手に何をする?昔からブラジルとやる時は、黒人選手のことをサル呼ばわりしてきたんだ。サッカーは男の試合だ、人種差別とかヤワなこと言ってんじゃないよ?」(フリー訳)事件の次の日のこの発言はマラドーナのものだ。これに対しサンパウロFCのレオン監督は「やっぱりコカインで脳みそが溶けていたか」とだけコメントしている。ほんと、マラドーナは昔のビデオだけでいい。
マラドーナだけじゃない、アルゼンチン・サッカーの一部のオピニオン・リーダー(?)はおそらく人種差別という問題自体よく理解していないように思える。ブラジルの人種差別法とは、白人社会で弱い立場にある黒人や黄色人(インディオ含む)のためにあるので、アルゼンチンにいる一部の高慢ちきな白人などは控訴される側にある。つまり言い分があるなら裁判官の前で言えばいい。この法はなるべく公平な社会を保とうという(実際はそうではないが)法的な弱者への支えだ。
この一連の騒動に対してセレソンのパヘイラ監督は「6月に控えるアウェーでのアルゼンチン戦に影響がでなければ良いが」と、彼らしい“へっぴり腰”な発言をしている。この人は他に言うことが無いのか?長年セレソンのヘゲモニーを支えてきたのは黒人選手ではないか。そういえば人種のるつぼと言われるブラジルでも黒人の代表監督はいない。
フッチ・ブログはブラジル法務関係者の行動を高く評価する。ピッチ上で、もういい加減に黒人やアジア人に対する差別発言は辞めなければならない。でなければ、何がワールド・サッカーだ!
バナナ発言のおかげで“マズイ飯を食った”デサバト選手
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20 Responses to “人種問題、サポーターの暴動?はけ口としてのサッカー、その2”

  • ロナウド says:

    確かにピチチになったら、笑えますwシーズンが始まった時はけっこういつもより、痩せてたので、おって思ったけどダメでしたからねw

  • フッチブログ says:

    ロナウド、南米予選でピチチなのは知ってました?

  • Sao Paulo says:

    映像で何回も見せられました。そこまでの暴言は言っていないようでしたが。

  • ブラジルの人種差別 その3 アルゼンチン選手釈放

    4月13日に、サンパウロ・モルンビー競技場で行われた、 トヨタカップリベルタドー

  • フッチブログ says:

    グラフィッチ側の起訴内容はTVの映像以外での発言も含まれている(アルゼンチンでのアウェー戦も含む)ようですよ。“サル呼ばわり”に“バナナ”、デサバト本人も認めている。グラフィッチ選手の供述もあります。ブラジル現地にいるようですから、ソースは多くあると思いますが、例えばこちら:http://tv.terra.com.br/esportes/esportestv/interna/0,,OI53028-EI4763,00.html

  • トンペイ says:

    おやおや日本も他国のことが言えなくなりましたね

    Jリーグを見に行く意欲が思いっきりそがれますね・・・・・
    もういいかな?
    日本も人種差別法とか作らないと五輪が逃げますよ
    横断幕の持ち主も脳味噌が溶けていたのでしょうねw

    世界一は女子だけで十分ですね!!

  • futblogger says:

    トンペイさん、ここのところ御無沙汰ばっかりでスイマセン!

    なんか浦和サポの横断幕が物議をかもしているようですね。
    一方で、ブラジルの週末では人種差別行為が2件(黒人審判の車の中にバナナの皮が大量に放り込まれていた、サントスのアロウカ選手を相手チームのサポがサル呼ばわり)、ポルトゲーザのサポがパウメイラスのFWの母親と姉を取り囲んで集団暴行、あと、マラカン球場の前ではW杯反対グループの抗議デモが継続(そう、ブラジルには自国でW杯を開催してほしくないマゾがけっこういるのです)、さらにはアレシャンドレ・パトのコリンチャンスサポによるツィッター炎上とか、ネットでざっと見ただけで、これだけ出てきました。

    結論から言えば、週末に家族を連れてJリーグを観に行ける「日本って平和だな~」と、私はまだ信じております。

  • トンペイ says:

    ありがとうございます。気がまぎれました。
    とはいえこんな事件がある限りサッカーは日本の風土や気質にあったものとは大半の日本人には認めてもらえないでしょうね。

    テレビやラジオでマスコミ関係者がサッカーにひどい仕打ちをするのが何年もつづいていやになりますが、今は彼らの言い分もわからんではない。

    こうなった原因としてサッカー界というか日本のジャーナリストがまだまだ脆弱でうまく世論や価値観をリード出来てないからなんでしょうね。KT氏とかSS氏とかSE氏とか実際に見たことと創作部分を中途半端に混ぜているので混乱してしまい結果ファンが独りよがりな行動をせざるを得なくなる。

    サッカー以外でも「沈まぬ太陽」とか「白い巨塔」とか社会派のヒット作でもそれで関係者が迷惑してるそうですしね・・・・これが衆愚ってやつですね
    ブラジルのトスタンみたいな人の出現が待たれます。

  • futblogger says:

    たしかにね…

    でも、この先、日本代表が世界的な知名度を得るにつれて、もっとトンデモナイことが起きそうな気がします。とくにアジア地区では。サポーターもきれい事では済まなくなるかもしれませんね、死人が出たりして…

    ブラジルも1966年のイングランドW杯では駆除しなければならない害虫のように追われましたね。78年アルゼンチン大会でも似たような感じ。ついこの前の2006年のドイツW杯でも、今になって考えれば、何としてでもブラジルは優勝させない、という組み合わせでした。サッカーはそういった野蛮な側面も抱えています。イギリスじゃあ紳士のスポーツはラグビーで、サッカーこそが愚衆の嗜みだそうな。

  • トンペイ says:

    ドゥンガは衆愚制、ポピュリズムといったものの犠牲者でしたね。
    無理解な周囲の勝手に作り上げたイメージに苦しんだ。
    僕が澤さんや井上先生を尊敬しているのは周囲に流されずに努力を重ね偉大な業績を残したからです。
    そういった大衆迎合主義とはさらに対極にいるのが宮間あやですね。
    あらゆる種類のキックを使いこなしゲームを作れて動きが素早くゴール前で点が取れる。澤さんがファルカンなら宮間はまさにジーコ!!
    C.ロナウドやレブロン・ジェームズと並んでこの年代を代表するアスリートだと思います。

  • futblogger says:

    サッカーはポピュリズムの一つの形だもんね… ロマーリオがブラジルで国会議員になったんだけど、大衆を意識しすぎ。あらゆる体制を批判して回ってるけど、大丈夫かな。英雄になろうとして、孤立している感じ。

    宮間選手に関しては、このブログの古ーい記事でブラジル女子代表戦をフクダ電子アリーナで観に行ったときのことを書きましたね。彼女が誰かよく知らないときに、いい選手がいるなあ、と印象的でした。まさか、ここまで成長するとは。

    とはいえ、メッシがバルサAチーム初帯同でロナウジーニョの袖に隠れて日本に来たときは何も感じなかったので、私の眼もいい加減なものです。18歳頃のC・ロナウドのマンUの来日戦も観に行っていますが、まったく記憶になし、へへへ

  • トンペイ says:

    澤さんがサッカーセンスの塊なら宮間はサッカーセンスそのもの!!

    じつは僕、「クラッキ」という人たちの見方に関してはWSDでカルト的な人気のあるコラムニスト、スペインのヘスス・スアレスを参考にしてます。
    そのスアレス氏はクリロナをエゴイストといっていますがメッシに関しても
    「テクニックは凄いがフットボールIQは凡庸だ」
    「一見謙虚に見えて簡単に人の言うことを聞かない頑固さがある」
    となかなかなか辛口、自分もメッシに関しては周りが騒ぎ過ぎだと思うし、今年アルヘンティーナが世界一になるのは無理じゃないかと思います。
    ブラジルみたいに脇ポジション(ボランチ、CB、SB)にすごい選手がいるわけじゃないですしね・・・・・

  • futblogger says:

    鋭いですね。
    たしかに、メッシとクリロナに関しては、かつてのクラッキたちと比べて、名声が喧伝されているような印象も受けます。少なくとも、W杯の実績に関しては平凡すぎるし。

    まあ「クラッキ」という呼称そのものが、ロマンチックというか、時代遅れになっているのかもしれません。だって、いまの有機的な組織ゲームでは、個人が好き勝手できるのは、ほんとうに限られていますから。

    先日、アルヘン✕ルーマニア、ポルトガル✕コートジボアールの二試合を観たのですが、アルヘンの守備のひどいこと…本大会では修正してくるとは思いますが、愕然としました。むしろ、まったく期待していなかったポルトガルの方が狡猾なゲームをしていました。ポルトガルの方がチームとしてのサッカーIQは高いですね。

  • トンペイ says:

    スラムダンクの井上雄彦先生はNBAのロサンゼルスレイカーズのファンで有名ですが、実は井上先生はファンになった時はレイカーズの試合を観たことがなかったそうです。
    そりゃそうですよね。80年代の九州の田舎に住んでたんですもの。
    じゃあ何故ファンになったかというと雑誌や新聞で「2メートルのセンター」や「ノールックパス」といったことばにロマンを感じて想像力を膨らませたそうです。
    ヘスス・スアレス氏やブラインアン・グランビル氏それと「スタジアムの神と悪魔」のエドゥアルド・ガレアーノ氏の研ぎ澄まされた感性豊かな文章はTV向けに編集された試合映像やナイキのやらせ映像よりもずっとサッカーを「観させてくれる」と思います。
    もちろんサッカーは生で観るのが一番ですがwww
    だからガリンシャやジジ、ニウトン・サントスといったブラジルの偉人達は映像が滅びても永久に人々の心の中に生き続けると思います。
    そしてスアレス氏が「ロマーリオ以来の天才」と評したのがフッチさん一押しのジャウミーニャです!!

  • futblogger says:

    お、スアレスさんがジャウミーニャについて、そう仰ってくれたんですか!嬉しいですね。

    私がブラジルサッカーをまたもう一度、観ようと思わせてくれたのがジャウミーニャでしたからね。日本では知名度の低い選手でしたが… 彼が活躍した時代は華やかでした。

    ブラジルサッカーの名コラムニストといえば、ネウソン・ホドリゲスさんでしょうか。この人の本業は作家、劇作家だったようですが、彼のサッカー関連の活動とペレのキャリアがちょうど被るのです。ホドリゲスさんと同世代にアルマンド・ノゲイラさん、何年か前に亡くなりました。あとはフェルナンド・カラザンスという人も好きでしたね(今は読んでいませんが)。

    トスタンはご存じ、ペレの現役後期の頃に彗星のごとく現れたアタカンチで、彼こそがブラジル国内で「白いペレ」と呼ばれた(ジーコじゃなくて)。
    多才なトスタンはサッカー業の傍ら、医学部も卒業していて、引退後は病院に勤めたそうな。長らくの沈黙を破ってサッカーコラムを書き始めたときは、フロイトの精神分析論から色々と解説をしたりしていて(98年W杯決勝戦当日のロナウドの体調不良のこととか)、すごく新鮮でした。

    安易なロマンチズムを排除して、医療に従事したことのある人らしい、サッカーの不確かな部分、不条理な部分をありのまま捉えたコラムでしたね。「このチームが勝つだろう」といったアプローチは一度もしないし、それに特定のメディアや企業団体からの表彰や招待などを一切断ることでも有名(それらに応じると退廃するという理由で)。そういうことなので、サッカーの試合は基本、居間の大型テレビで観るそうな。
    今も面白いです。

  • トンペイ says:

    僕の予想では宮間あやは年取ったら「日本のトスタン」になってくれるのではないかと期待しています。
    実は僕、古書店やブックオフ、図書館で過去の書籍を物色するのが習慣になってまして、普通の本屋は出版社が買わせたい本ばかり大量に並んで好きじゃないです。
    一か月前ブックオフでとうの昔に廃刊になった雑誌でトスタン氏の顔写真と記事を発見しました。ブラジルサッカーの近代化を説いていました。
    しかしトスタン氏の記事がのったのは日本の雑誌やブログでおそらく最初で最後・・・・
    全く日本の出版業界は何をしているのか?
    古本屋だとこんな「偶然の掘り出し物」がたくさんみつかります。
    数年前も中田がローマに入団した時のWSDを見つけましたが・・・・・・
    そこになんと2ページだけですがローマの記者が書いたファルカンの姿!!
    彼がどうやってサポーターに認められタイトルを取りチームを去ったかが書いてあって感動しました。

  • トンペイ says:

    澤さん差別反対宣言

    やったね!!!
    やっぱり僕の見込んだ人だけあるね!

    まだまだメッシもマラドーナも澤さんには足元にも及びませんねw

  • トンペイ says:

    メッシはともかくマラドーナに関しては言い過ぎました

    スイマセン(T_T)

    ついいつもの悪い癖が・・・・・

  • トンペイ says:

    横断幕問題でコメントできたジャーナリストとそうでないジャーナリストで明暗が分かれましたね

    手塚治虫のルードヴィッヒ.Bに出てくるモーツァルトのセリフが思い出されます

    「若い奴は自分の好きな題材を持ち込むのは得意だけど、こっちから課題を与えられたらアタフタする」

    • futblogger says:

      まあ、人種問題に関しては、サッカーとは関係のないところに行ってしまいますので…

      ただ、数人の行為に対して、FIFAやJFAもやたら過剰に反応するな、とは思いますね。
      その行為を抑制したいのはわかりますが、全員が不利益を被ることで良しとする考えが… これまた怖い。
      「○○クンが悪さしたから、今日は全員給食なし」みたいな、社会は学校ではないのですが。

      ペレが来日していたらしく、この件について、こう言っていました「人種差別するのも、これまた人間なのです」。

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